日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月25日、新春記者会見を行った。これは毎年開催されており、例年はドローン関係者を一堂に会して意見交換の場としてきたが、コロナウイルスの影響で昨年に引き続き、2022年もオンライン形式での開催となった。
同会見では、同団体の取り組みに加え、鈴木真二理事長による「ドローン〇〇元年」といった業界を占う言葉の発表が恒例となっている。
専門的な⺠間ライセンスを創設、国家ライセンスと差別化へ
まず、同団体の現況を発表。大きな変更として、昨年に定款の変更が承認されたという。同団体は「ドローンの産業・市場の創造支援と健全な発展への貢献」を組織の活動目的としてきたが、「次世代移動体システム(AMS)(※1)の新たなドローンの産業・市場の創造支援と健全な発展への貢献」に変更した。これは、空飛ぶクルマや水中ドローンなどの産業利用が広まり始めたことを受け、ドローンに加え、これらの支援活動にも取り組んでいくためとしている。
※1 Advanced Mobility Systems
そして、上記の定款に賛同する法人・個人・公共のJUIDA会員数は2万238会員(2022年1月現在)に達し、JUIDA認定スクールは全国266校まで拡大していると発表した。
国内での人材育成活動に取り組む一方で、国際連携も強化している。22ヵ国32団体とパートナーシップを組み、ドローンに加え、空飛ぶクルマや物流に関するプロジェクトと連携。これにより、「自社の情報を世界に発信し、世界の情報をドローン市場へ落とし込むことが可能になった」と鈴木氏はいう。
次に、2022年の取り組みを発表。昨年から本格的に動き始めた航空法改正とレベル4の目視外飛行の実現に向けて、同団体は免許制度設計の政策提言を行っている。
国は機体認証、操縦ライセンス、運行ルールのワーキンググループを設立し、法制度の整備を進め、同団体は技能確保のワーキング試験準備委員会に参画し、ライセンスにおける技能証明に必要な技能について提言していく。そのほか、訓練を行う登録講習機関の要件や試験内容の検討を進めているという。
また、これまで作り上げてきたドローンスクールのネットワークとシステムを今後も活かしていくため、⺠間ライセンスと国家ライセンスの両立を検討。そのため、ビジネスにつながるプラント点検や森林測量といった応用教育・専門操縦士育成の証明証を創設し、国家ライセンスとの差別化を進めている。なお、新たに外壁点検調査の応用教育も新設予定だ(※2)。そのほか、小学生向けのプログラミング教育を行い、次世代につなぐ教育も創設した。
ドローンビジネスは事業・サービス化へ「ドローン社会実装元年」
鈴木氏は市場の発展を目標に、各年度にその年のスローガンを発表してきた。2021年には「ドローン災害活躍元年」と掲げ、自衛隊東部方面総監部との連携協定をもとに、昨年7月に発生した熱海の伊豆山土砂災害で自衛隊活動への協力を果たした。
そして、2022年度はいよいよ事業化・サービス化が進むことを目標に、「ドローン社会実装元年」と発表。これについて鈴木氏は「レベル4実現をスローガンにすることも考えたが、施行が12月となるので本格的な始動は来年以降となる。2022年度は離島や山間部等のレベル4以外の地域において、事業化が進み、社会実装へとつながっていく。また、災害活用ではすでに実装されている場面も多いが、平時の公共活動への実装も進むのではないか」と説明した。
同団体は6月21日から23日の間、千葉県幕張メッセにて第7回 Japan Drone 2022の開催を予定しており、今年から新たに次世代エアモビリティ EXPO 2022が併催される。各国の空飛ぶクルマを展示し、ドローンとエアモビリティの発展に取り組んでいく。