国際標準化機構(以下ISO)は、2021年2月2日付で無人航空機(以下ドローン)の操縦訓練に関する国際規格「ISO23665 Unmanned aircraft systems — Training for personnel involved in UAS operations(以下 ISO23665)」を発行した。ドローン操縦訓練に関する世界共通の要件が定めてあり、国際ライセンスを策定する際の指針となる。
 規格は日本がISOに提案したもので、検討過程でも日本がプロジェクトリードの立場で各国との連絡、意見調整など進行を主導。各国の協力も得られた結果、提案から2年半の短期間で発行を実現することができた。ドローンに関わる国際規格で、日本提案が発行に至ったのは今回が初めてだという。

 日本UAS産業振興協議会(以下JUIDA)は日本の代表としてISOへの提案を行い、JUIDAからの提案にいち早く賛同した議長を務める英国との連携により、提案段階から検討過程のすべてに積極的に関わってきた。JUIDAは、今後この規格に適合するカリキュラムを作成し、国際ライセンスの策定を目指していくとしている。

ISO23665 Unmanned aircraft systems —Training for personnel involved in UAS operationsについて

 ISO23665は、2018年7月25日にJUIDAによって日本発提案としてISOのTC20/SC16/WG3のワーキンググループへ提案された。ISO23665は全9章で構成され、ドローンスクールが備えておくべき施設や講師などの要件、評価方法などについて規定している。また、別紙にてスクールが実施する講座のカリキュラムに含めるべき項目を規定しており、今回のフェーズでは「目視内飛行」に関する講座カリキュラムを規定した「Annex A」が公開されている。Annex Aでは、目視内飛行というドローンの運用においては極めて一般的な飛行方法でありながら、航空機の世界の安全管理手法なども取り入れられているのが特徴である。機体、気象、電波に対する理解などの一般的な項目に加え、チームによる運航を前提として航空機運航チーム内でのコミュニケーション方法を定めたCRM(Crew Resource Management)などの要素が盛り込まれている。
 カリキュラムに関する別紙は今後も追加されていく予定であり、講師に関するカリキュラム、飛行の補助者に関するカリキュラムなどの規格化が検討されている。

▼ISO 23665:2021
https://www.iso.org/standard/76592.html

JUIDAにおける教育の取り組みについて

 JUIDAでは2016年3月からJUIDAが提供したカリキュラムを使って教育を実施する「JUIDA認定スクール」の認定事業を行っている。2021年1月時点で日本全国239校、海外に1校のスクールがあり、ドローン教育に関する日本最大の管理団体である。「JUIDA無人航空機操縦技能証明証」「JUIDA無人航空機安全運航管理者証明証」の2種類の証明証を発行しており、各認定スクールで講座を修了した後に取得することができる。証明証の取得者数は14,000人を超える。

 また、世界各国のスクールとも多数連携しており、2021年1月末時点で21か国30団体とMOUを締結し、カリキュラムに関する知見の共有を行っている。こうした活動から、ISOを通じて民間主導の国際ライセンスの制定についての検討を行っている。

JUIDAが提携する世界各国の団体