情報通信測定機器をはじめとする測定機器の専門商社である東陽テクニカは、RJE Oceanbotics社製水中ROV(ドローン)「SRV-8」のほか、VOYIS社製高精度水中レーザースキャナ「Insight Micro」、Sound Metrics社製2周波水中音響カメラ「ARIS」等の展示を行った。

機動力の高さと容易な操作で水中探査が行える

8つのスラスターを備え、高度なプログラミングで6DOF(6自由度)の移動ができるSRV-8。最大6時間の作業が可能だ。
角度のついたスラスターが、360度あらゆる方向への移動と回転を可能にしている。
オプションの1つのグラバー。海底に落ちている物品のサンプリングなどに使用できる。

 SRV-8は最大6時間の稼働時間と300mの耐圧性能で、インフラ点検(橋梁、桟橋、ダム、パイプラインなど)、海洋調査、捜索救助などさまざまなミッションに対応する水中ROVだ。8基のスラスターを備え、あらゆる方向への移動と回転が可能。担当者によるとスラスターの取り付け角度が機動力を生んでいるという。有線といっても動作電力は本体のバッテリーなので発電機は必要なく、あらゆるプラットフォームから操作が可能だ。
 ビークル前方には2つのLEDスポットライト(1,500㏐)が搭載され、前方135度を照らしオペレータの操作を助ける。オンボードカメラは、ナビゲーション用のアナログと録画用のHD1080pのデジタルのデュアルモード。セッティング、操作とも簡単で、水中投下場所に到着してから3分以内にセットアップができ、家庭用ゲーム機のXbox用コントローラーで直感的な操作を可能としている。
 ケーブルには4.5mmの極細テザーケーブルを採用することで潮流による抵抗を小さくし、流れのある環境下においてビークルのパワーがくわれないよう設計されている。このケーブルは300ポンド(約136kg)の耐荷重を持つので、高さのあるプラットフォームからのビークルの投下・回収、また海底からビークルが牽引する重い物体の回収も問題ない。
 オプション装置として、音響測位装置、イメージングソナー、グラバーやマニピュレータアームなどがあり、水中での用途にあわせて搭載することができる。機動性、操作性、汎用性のそれぞれに富み、さまざまな用途に使用できる水中ROVといえるだろう。

注目度がアップした水中ドローンの用途を広げるソリューションを展示

高精度水中レーザースキャナ「Insight Micro」。水中で、ミリオーダーの超高分解計測(1ラインあたり2,464点)が行える。水中の構造物の検査など維持管理に最適。
2周波水中音響カメラ「ARIS」。水中で超音波を使用することで、光学カメラでは見えなかったものを詳細に観察することができる音響カメラ。透明度に関係なく、濁水中や夜間でも水中撮影が可能だ。水中構造物の施工管理、水中捜索等、幅広い用途に使用できる。
キュービックマルチビーム測深機「Sonic2020」。小型・軽量なシステムなので、ゴムボートにも搭載可能。海底の状況を把握することができるので、構造物の崩落や破損を確認することが可能だ。高密度な3D点群データが取得できるため、ドローンで空中撮影した3Dデータと重ね合わせることで水・陸の測量データをシームレスに再現することができる。

 そのほか、展示ブースには、VOYIS社製の高精度水中レーザースキャナ「Insight Micro」、Sound Metrics社製の2周波水中音響カメラ「ARIS」、R2Sonic社製のキュービックマルチビーム測深機「Sonic2020」などが展示されていた。
 ここ最近一気に注目されるようになった水中ROV(ドローン)。海は地球上の約71%を占めているが、人間がこれまでに調査できているのは全体の10%以下といわれている。そして、日本は四方を海に囲まれた島国で、世界6位の排他的経済水域の面積を持つ海洋国家だが、国内の漁業や潜水業に従事する人材は、高齢化と少子化などの影響によって減少の一途をたどっているのが現状だという。今後、漁業や海運、海洋インフラの発展においてIT技術を駆使して生産性を高めることは必須事項であり、その1つが水中ドローンであることは間違いないだろう。