今回出展していた携帯電話事業者のひとつNTTドコモは、同社のドローンプラットフォーム「docomo sky」のソリューションを一堂に展示した。なかでも昨秋、国内での提供開始を発表した米Skydio社の小型ドローン「Skydio 2」「Skydio X2」関連の展示は、5月にサービスメニューや機能拡張ソフトウエア「Skydio Autonomy Enterprise Foundation」を発表して間もないこともあり、多くの来場者の注目を集めていた。
Skydioのハードとソフトを総合的にアピール
NTTドコモブースでは、これまで同社が取り組んできたドローンソリューションを、点検、農業、エンターテイメントといった分野に分けて説明すると同時に、docomo skyとして取り扱うACSLやNTT e-Drone Technology、Skydioのドローンを展示していた。その中でも高い関心を集めていたのは、Skydio社のソリューションだ。
NTTドコモは2020年11月にSkydio社のドローンを国内で提供すると発表。そして今年5月18日には、Skydioの新しいサービスメニューの提供とSkydio Autonomy Enterprise Foundation(AEF)の取り扱いを開始するとアナウンスしている。新しいサービスメニューは「技術検証」「運用検証」「1年レンタル」と3つの段階を用意。
技術検証では顧客のニーズに対してSkydioを使い、どういうデータが取得できて、docomo skyを使ってそれをどう利用できるか、といったことをNTTドコモが主体となって実際に飛行させて検証する。一方、運用検証は技術検証を踏まえて顧客側が主体となり、Skydioを運用して検証するというもの。この中には2か月間、2機のSkydioのレンタルと講習が含まれている。そして運用フェーズとしての1年レンタルというものだ。
「Skydioはすでにさまざまなお客様から引き合いがある。今はお客様の現場で“Skydioをどう飛ばせるか見せて欲しい” “技術検証としてこういうことをやってみて欲しい”というニーズが高い。また、橋梁やプラントの屋内の点検といった分野が多いほか、“ドローンを飛ばして大きな構造物の確認をしたい”といったもの、さらには“ドローンを使ってゴミ拾いの状況を確認したい”といった声もあるなど、とにかくさまざまな用途で声がかかっている」(説明員)という。
SkydioのコーナーではSkydio 2のほか、今後リリース予定のSkydio X2、さらにはSkydio 2のドローンポートとなる「Skydio Dock」を展示。Skydio X2は移動用の専用ケースや専用充電器など、キットの形で展示されていた。Skydio Dockは今も開発が続いているといい、展示されていたDockにはSkydio 2が着陸するホルダーとバッテリーに、充電用端子が装備されるなどしており、その進化がうかがえるものとなっていた。
また、ブースのモニターでは、Skydio 2については6月2日に米Skydio社がオンラインで発表し、NTTドコモでも5月18日に取り扱い開始をアナウンスした、機能拡張ソフトウエアSkydio Autonomy Enterprise Foundation(AEF)や、今後リリースされる予定の「3D Scan」を紹介。さらに、NTTドコモと首都高技術が行ってきた橋梁点検の定期点検前スクリーニングで、Skydio 2とACSLのPF-2ベースの専用機を使い、首都高速の橋梁を点検する様子を公開していた。
農業分野ではNDVIの解析から農薬散布ドローンの活用へ
NTTドコモのブースではSkydio以外にも、NTTドコモのドローン事業への取り組みを展示。そのひとつである農業支援では、ドローンを使って農作物のNDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化差植生指数)を取得し、その農地に対する作業や管理に役立てるためのリモートセンシングを行っており、その事例として2018年から更別村で行っている内閣府の「近未来技術等社会実装事業」の取り組みや、岩見沢市で行っている「スマート農業加速化実証プロジェクト」での取り組みを紹介していた。
「ドローンで農地の状態をセンシングするというのはもう実証されている技術。これまではセンシングしたデータをどう読めばいいかを案内してきたつもりだったが、これからはそのデータをもとに次のアクションにつなげられる提案をしないといけないと感じている」(説明員)という。
また、今回のNTTドコモブースでは、同じNTTグループのNTT東日本がオプティム、WorldLink & Companyと設立したNTT e-Drone Technologyの農薬散布用ドローン「AC101」を展示。「NTTドコモはマルチベンダーのドローンを扱ってきたが、機体メーカーであるNTT e-Drone TechnologyがNTTグループとして仲間に入ったことで、ソフトの開発をはじめ連携できることの幅が広がった。機体メーカーと一緒に開発に取り組むことで、機体のソフトや通信のレイヤーに触れることができ、より完成度の高い製品を顧客に提供することができる」(説明員)としている。
このほか、これまでNTTドコモが自社の携帯電話ネットワークの鉄塔点検で培ってきた、ドローンによる点検技術を生かしたdocomo skyの「AIサビ検知」機能や、AIを使ってコンクリート表面のひびを検出する富士フイルムの「ひびみっけ」と連携した機能など、docomo skyのさまざまな機能やメニューを紹介。また、NTTドコモが独自に開発した球体ドローンによるドローンショーといったエンターテイメント支援などのソリューションを展示していた。