2021年6月1日、首都高技術とNTTドコモ(以下ドコモ)は、2019年度よりドローンによる定期点検前スクリーニングとして共同研究を実施し、大型ドローンと小型ドローンを併用して、くまなく橋梁を点検する手法を確立したと発表した。

 この手法は、今後増加が予測される定期点検前のスクリーニングでの活用を想定している。大型ドローンで広範囲を撮影し、小型ドローンでは橋桁内部の撮影を行うことで、足場が組みづらい橋梁点検の作業を効率化する。

 首都高速道路など都市高速道路の橋梁は、人口密集地帯かつ海上など、離発着場所が限られる飛行環境のため従来のドローンでは点検が困難であった。今回確立した手法は、大型ドローンと小型ドローンの2種類を併用する。大型ドローンには高精細カメラを搭載し、広範囲を撮影。あらかじめ決めたルートを自律飛行して、効率的にスクリーニングを行う。小型ドローンは、大型ドローンでは侵入できない橋の入り組んだ、外角からは見えない箇所を撮影する。

 撮影した画像と映像はドコモのドローンプラットフォーム「docomo sky」上で管理を行う。これまで、橋梁で撮影された画像や映像はGPS情報が取得しづらいため、撮影された場所との紐づけが困難だったが、docomo skyを用いることで画像や映像と場所を紐づけ、異常のあった箇所を効率よく確認することが可能となる。

大型ドローン飛行の様子
小型ドローン飛行の様子

橋梁点検手法の概要

大型ドローン

 LiDARやステレオカメラにより自律飛行を行う機体(自律制御システム研究所「ACSL-PF2」)を用いて飛行を実施した。橋梁下であらかじめ設定されたルートを決められた速度で自律飛行する。点検前スクリーニングで活用可能な画像を取得するためにライトなどを用いた。

大型ドローン
大型ドローンで撮影した画像

小型ドローン

 上下6つの魚眼レンズで360°障害物回避機能を有する自律飛行可能な機体(Skydio, Inc「Skydio 2」)を用いて実施。約90cmの桁内部に入り込み、カメラを上下180°稼動させることで、従来は困難であったエリアを撮影することができる。また小型のため、限られた点検スペースからの離発着が可能である。

小型ドローン飛行の様子
限られる離発着スペース

画像、映像確認手法

 橋梁で撮影された画像や映像はGPS情報が取得しづらいため、これまでは撮影された場所との紐づけが困難であった。ドローンで取得したデータをdocomo skyへ格納し、静止画は飛行ルートに沿った形で表示、動画は確認必要箇所にコメントを付与する機能を用いることで効率的に点検前スクリーニングを行うことができた。

床版を撮影した静止画の確認
桁の中に入り込み撮影した動画の確認

首都高技術とドコモが締結する共同研究の概要

共同研究名 :ドローンによる定期点検前スクリーニング
研究チーム :首都高技術株式会社、株式会社NTTドコモ
研究実施場所 :舞浜首都高管理地、荒川湾岸線、辰巳橋