2ストロークエンジンを搭載し、140分の飛行を実現したAeroRangeQuad。3kgのペイロード積載時の飛行時間は60分。

 国産ハイブリッドドローンを手掛けるエアロジーラボは、AeroRange1やAeroRangeProといった飛行時間100分以上の2ストロークエンジンを搭載した大型機を開発してきた。この2機種は全長約1700mmのヘキサコプター型として、ドローン物流の実証実験などで活躍している。そして、今回展示されたAeroRangeQuadは、その名の通り4枚のプロペラを備えたマルチコプター型で全長は1180mmと、前者と比べてコンパクトな設計となる。なお、AeroRangeQuadはJapanDrone2020で試作機が展示され、注目を集めたドローンだ。

円形のカーボン製フレームの内部にはガソリン燃料を入れることができ、タンクの役割も兼ねる。
中心部にはエンジンを搭載。
スキッド(ドローンの脚の部分)は軽量なマグネシウム素材をあしらった。

 AeroRangeQuadはオールラウンドに対応するドローンとして開発された。燃料を含むペイロードは5kgで、カメラなどを搭載して点検や測量、災害対応など幅広い用途で役立てられる。フレームは一体成型で造られたカーボンファイバーを採用。32ccの2ストロークエンジンを囲むリングフレームを燃料タンクにすることでコンパクトな機体を実現した。さらに、スキッドにはマグネシウムを使うなど、軽量化だけでなく部品素材によるクオリティの高さも際立っていた。コンパクトな設計ながらも、140分の長時間飛行を可能にしている。それに加え、ボディーカバーにはパラシュートの搭載スペースを設けるなど、安全への配慮もうかがえる。

 JapanDrone2020から機体の大きな変更はないが、コストダウンを図ることができたという。それはボディの金型が完成したことや、製造にかかわる人件費が削減できたことが要因だ。その結果、当初予定していた約600万円から約450万円に価格を抑えて受注を開始し、12月から順次納品予定だ。2022年度に100機の販売目標を掲げ、国産ドローンのニーズが高い官公庁などを中心に販売していく。