2021年3月16日、ユーグレナ社とエアロジーラボは、KOBASHI HOLDINGSとリバネス社の協力の下、エアロジーラボが開発したドローン「AeroRange QUAD」に、ユーグレナ社が製造したバイオ燃料を使用して、竹富島・石垣島間での物流実証試験を実施し、成功したことを発表した。
 AeroRange QUADは、エンジン発電機とバッテリーを搭載する、最大飛行時間150分、最大ペイロード4kgの小型ハイブリッドドローンだ。

 実証試験では、ユーグレナ社のグループ会社であるユーグレナ竹富エビ養殖社で養殖したクルマエビを竹富島から石垣島に輸送した。ユーグレナバイオ燃料を使用したドローンによる物流実証実験は日本初だという。

「AeroRange QUAD」飛行の様子
バイオ燃料給油の様子

背景

 離島での生活において、物流の安定は、島の住民が安心安全に暮らすために非常に重要だが、不測の事態が起こった際には船や飛行機が減便または欠航し、長期間物資の往来が減少、もしくは途絶える状況が起こる。
 新型コロナウイルス感染症の影響でもフェリーの減便が相次いでいて、離島地域におけるドローンによる物流網の確保に向けた取り組みはますます重要になってきた。

 今回、離島間物流の課題を解決する第一歩として、最大飛行時間150分、最大ペイロード4kgの特徴を持った小型ドローン「AeroRange QUAD」を使用し、クルマエビ1kgを竹富島と石垣島間で運搬する実証実験を2021年3月16日に実施した。

 新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する中、フェリーの減便が相次ぎ、クルマエビは鮮度が重要な食品であることから、通常の出荷ができない時期が続いていたという。

 燃料となるバイオ燃料は、ユーグレナ社のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントで製造され、エアロジーラボに提供されたものだ。バイオ燃料は、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)と使用済み食用油等を原料に使用しており、燃料の燃焼段階ではCO2を排出するが、原料となるユーグレナが成長過程で光合成によってCO2を吸収するため、燃料を使用した際のCO2の排出量が実質的にはプラスマイナスゼロとなるカーボンニュートラルを実現する。

 ユーグレナ社とエアロジーラボは、今後の発展が期待されるドローン物流分野において、バイオ燃料を活用することで、離島間物流をはじめとした物流課題を解決するとともに、環境に配慮したサステナブルな物流を促進するとしている。

実証実験概要

日程 :2021年3月16日
飛行区間 :竹富島竹富港〜石垣島石垣港
飛行距離 :約5.5km
機体 :AeroRange QUAD
運搬物 :ユーグレナ竹富エビ養殖で養殖されたクルマエビ 1kg
燃料 :ユーグレナ社が製造するバイオ燃料

ドローン飛行ルート

各社概要

株式会社エアロジーラボについて
 リバネス社やKOBASHI HOLDINGSと連携し、中型ハイブリッドドローンの試作初号機 「AeroRange Pro」の開発並びに量産体制を構築。2020年10月に小型モデル「AeroRange QUAD」を発表し、2021年2月にはKOBASHI ROBOTICSと「AeroRange QUAD」の量産体制を整えた。また、2020年12月にはACSLとハイブリッド技術を活用したドローン機体の開発・製造委託契約を締結するなど、国内におけるハイブリッドドローン市場を牽引している。https://aerog-lab.com/

KOBASHI HOLDINGS 株式会社について
 農業・ものづくり分野で培ってきた知識や技術を応用し、地球規模の課題解決に取り組む。2014年9月にユーグレナ社と微細藻類の効率的かつ安定的な培養方法にかかる共同研究開発契約を締結し、2017年には大規模あぜ型微細藻類培養プールの稼働を開始した。本実証で活用するバイオ燃料には、上記培養プールにて生産したユーグレナが一部含まれている。 https://www.kobashiholdings.com

株式会社リバネスについて
 2002年、15人の大学院生によって「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと設立された。以来、世界中のパートナー企業・公的機関と300を超える多角的なプロジェクトに取り組む。https://lne.st/

株式会社ユーグレナについて
 2005年に石垣島で微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。石垣島で生産したミドリムシ・クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品等の開発・販売を行うほか、バイオ燃料の生産に向けた研究を行っている。https://euglena.jp