緊急用務空域とは、災害などが発生し、警察や消防が捜索や救助などの活動(緊急用務)を行うために航空機やマルチコプターを飛行させることが想定される際に、一般のドローン・無線操縦などの飛行が原則禁止される空域のことを言う。

 なお、小型無人機などの飛行が禁止される法律を「小型無人機等飛行禁止法」と呼び、その空域は「飛行禁止空域」と呼ぶ。

緊急用務空域(引用:国土交通省

 ドローン飛行や無線操縦を行うパイロットは、飛行予定のルートが緊急用務空域として指定されていないかを確認する義務がある。

 もしパイロットが事前の確認義務を怠り航空法に違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられる。

通常時の飛行禁止空域

緊急用務空域を含む飛行禁止空域(引用:国土交通省

 通常時に航空法で飛行禁止空域として定めているのは、以下の3つ。

空港などの周辺
人口集中地区の上空
150m以上の上空

 この他、災害などが発生した際はその規模に応じて緊急用務空域が指定される。緊急用務空域は国土交通省公式サイトやX(旧Twitter)にて告知されるため、事前に確認することが重要だ。

 上記3空域の飛行許可を保有している場合でも、新しく緊急用務空域が設定された場合は同空域で飛行はできない。警察や消防などの関係機関からの飛行中止指示の有無にかかわらず、緊急用務空域として指定された空域で継続して飛行する場合は航空法違反として罰せられる。

 もし飛行中の空域や飛行経路に緊急用務空域が指定された場合は、操縦者や補助者が協力して航空機などに接近しないように注意しながら必要に応じて飛行を中断し、関係機関の航空機の飛行を妨害しないようにしなければならない。

 操縦者は操縦に専念する必要があるため、補助者や運航管理者が適宜緊急用務空域の有無などを情報収集し、操縦者に適切な指示や助言を与えること。