小型無人機等飛行禁止法とは、重量を問わずドローンを含む小型無人機の飛行を一部のエリアで規制する法律だ。

小型無人機等飛行禁止法の規制内容

 航空法では100g以上の無人航空機の飛行を規制しているが、小型無人機等飛行禁止法では、重要施設をはじめとするエリアで重量制限なく全ての小型無人機の飛行を警察庁が規制している。

 規制対象となる飛行は以下の2つだ。

(出所:せりぽよが資料をもとに図表を制作)

1. ラジコン飛行機等の無人飛行機や無人滑空機、無人回転翼航空機(ドローン等)、無人飛行船などの小型無人機を飛行させること

2. 気球、ハンググライダー、パラグライダーなどの特定航空用機器を用いて人が飛行すること

 飛行が規制されている場所は施設からの距離に応じて、施設周囲のおおむね300mの上空であるイエロー・ゾーンと対象施設の敷地・区域の上空となるレッド・ゾーンの2つに分類されている。

小型無人機等飛行禁止法の規制対象施設

 対象施設は、以下の5分類が存在する。なお、オリンピックや国葬など、状況に応じて以下に記載がない施設も一時的に指定されるケースが多い。

国の重要な施設等
 - 国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等
 - 危機管理行政機関の庁舎
 - 対象政党事務所
対象外国公館等
対象防衛関係施設(令和元年改正で追加)
対象空港(令和2年改正で追加)
対象原子力事業所
(引用:小型無人機等飛行禁止法関係|警察庁Webサイト

 また、小型無人機等飛行禁止法は以下の条件を満たした時のみ、例外的に飛行が許可される。

対象施設の管理者又はその同意を得た者による飛行
土地の所有者等が当該土地の上空において行う飛行
土地の所有者の同意を得た者が、同意を得た土地の上空において行う飛行
国又は地方公共団体の業務を実施するために行う飛行
(引用:小型無人機等飛行禁止法関係|警察庁Webサイト

(出所:せりぽよが資料をもとに図表を制作)

 ただし、対象防衛関係施設及び対象空港のレッドゾーンでは、土地の所有者もしくは占有者が飛行を行う際や国又は地方公共団体の業務を実施するための飛行であっても、対象施設の管理者の同意が無ければ飛行してはならない。

 これらの例外を適用されずに対象施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)で飛行した場合や警察官等の命令に違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。

航空法における無人航空機を飛行する際に果たすべき義務

 無人航空機の飛行は航空法で規制されており、飛行場所・飛行方法以外にも機体登録など事前に対応すべき義務がある。

(出所:せりぽよが資料をもとに図表を制作)

1. 機体登録
2. リモートID搭載
3. 特定の場所で飛行する際の飛行許可取得
4. 特定の方法で飛行する際の飛行承認の取得
5. 特定飛行時の飛行計画の通報
6. 特定飛行時の飛行日誌作成
7. 飛行ルールの遵守
8. 無人航空機に関する事故又は重大インシデントが発生した場合の負傷者救護
9. 国土交通大臣への発生した事故又は重大インシデントに関する報告

無人航空機の飛行場所・方法の規制

(出所:国土交通省

 空港等の周辺・緊急用務空域・150m以上の上空・人口集中地区で飛行する場合は飛行許可を受けなければいけない。

 これらの場所で飛行しない場合であっても、夜間飛行・目視外飛行・人又は物件と30m以上の距離を確保できない飛行・催し場所上空での飛行・危険物輸送・物件投下などの飛行方法を実施する場合は飛行の承認を受ける必要がある。

 飛行許可承認申請はDIPS2.0からオンラインで提出できるが、郵送でも受け付けている。