人口集中地区 / DID(Densely Inhabited Districts)とは、「原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接」して「それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有する地域」に該当するエリアのこと。改正航空法(2015年12月〜)では、原則的に無人航空機の第三者上空の飛行を禁止しており、第三者上空を飛行する可能性が高い人口集中地区上空で飛行させてはならないとされている。

 人口集中地区は、5年に一度行われる国勢調査のデータをもとに設定され、「jSTAT MAP(https://jstatmap.e-stat.go.jp/trialstart.html)」などで確認することができる。令和2年実施の国勢調査の結果は令和4年6月25日に反映される。

 無人航空機を人口集中地区上空で飛行させなくてはならない場合は国土交通省へ飛行許可・承認申請を行い、許可を得る必要がある。飛行の際にはプロペラガードを装備して飛行させるか、装備できない場合は、第三者が飛行経路下に入らないように補助者を配置し、監視及び注意喚起を行わなければならない。万が一第三者が飛行経路下に接近または進入した場合は操縦者に適切に助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置を講じる必要がある。(「航空局標準マニュアル01」より)

 2022年12月5日に航空法の改正が施行されたことにより、レベル4(第三者上空の目視外飛行)が可能となった。これは、運航パイロットが国家資格である「一等無人航空機操縦士」を所有していることに加え、飛行させるドローンが型式認証及び機体認証を取得し、国土交通省の許可承認を得ている場合に限り、目視外飛行によって人口集中地区の上空を補助者なしで飛行させることができる。

飛行申請

 2021年9月に施行されたドローンの飛行の一部規制緩和では、「十分な強度を有する紐等(30m以下)で係留し」「飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を講じて」ドローンを飛行させる場合は、人口集中地区上空で飛行させる際の許可・承認を必要としなくなった。許可・承認の手続きが間に合わない場合は、この規制緩和策を活用するのも人口集中地区上空で飛行させる際のひとつの手段となる。
▼係留を用いた飛行の許可承認と高層構造物周辺の飛行禁止空域を見直しへ
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/news/1183755.html

現況

 「人口集中地区は飛行禁止=日本国内でドローンを飛ばす場所がない…」とイメージするユーザーが多く見受けられるが、jSTAT MAPを確認すればわかるとおり、人口集中地区は東京・名古屋・大阪・福岡等の大都市圏や駅周辺に集中している。実際の日本の国土は人口集中地区でないエリアのほうが圧倒的に多く、都市部に比べて地方はドローンを活用しやすいといえる。