都内の物流施設とドローンが共存!敷地内の各所で飛行デモ

写真:飛行するELIOS 3
練習場内を飛行するELIOS 3。物流施設内で行われたデモンストレーション時には周囲が暗い状況でも安定して飛行した。

 会見後にはドローンの飛行デモンストレーションが行われた。照明を落とした倉庫内を、ブルーイノベーションが販売する点検用ドローン「ELIOS 3」が飛行。非GPS下、暗い建物の中でも安定して飛行できる様子を披露した。またドローンポートから物流ドローン「PF2」が飛び立つ演出もあった。このドローンポートはブルーイノベーションがシステム、トヨタ自動車がハードウェアを開発した、AGV(自動搬送車)との連携が可能なタイプだった。

写真:ドローンポート、その上にはPF2が載っている
PF2とドローンポート。画面に向かって左側にAGVが接続する。
写真:3人が並び、中央の鈴木氏がマイクを手に話す様子
ドローンのデモンストレーションには日本UAS産業振興協議会の鈴木真二理事長(中)、ブルーイノベーションの熊田代表(右)が参加した。

 手動操縦の「Martice 300 RTK」による物流施設の外壁や、屋上の太陽光パネルを点検するデモも行われた。屋上が陰になり完全に目視外飛行となっても安定して飛行し、リアルタイムで映像を伝送。その様子を見た参加者はクリアな映像を見て一様に感心していた。

写真:壁面の近くを飛行するMartice 300 RTK
Martice 300 RTKが物流施設の壁面点検を行うデモンストレーションが行われた。
写真:ドローンポート上のMartice 300 RTK
Martice 300 RTKは最大飛行時間55分。AIを搭載し、6方向検知や測定技術に多数の機能を搭載している。
写真:BEPポートとMartice 300 RTK
ブルーイノベーションが開発するドローンポート「BEPポート」がMartice 300 RTKの離陸地点に利用された。着陸はポート脇の地面で行った。

 デモ後には施設の詳細をチェック。ネットフィールドは五面が囲われ屋内扱いとなっている。一方でネット越しに自然の風が入り込むので、安全な環境で実践的な訓練に臨めると感じた。待合室はエアコンが完備され、快適に過ごせる。また、ドローンラウンジは外光を取り入れ、広々とした明るい室内が印象的だった。

写真:ドローンラウンジの様子
開放的な空間となっているドローンラウンジ。大型モニターが設置された会議室もある。
写真:3社のロゴが並んだ壁面の装飾
ドローンラウンジには、板橋DFの運営に携わる三井不動産、日鉄興和不動産、ブルーイノベーションの3社がロゴを連ねる。

 MFLP・LOGIFRONT東京板橋は新河岸川に面している。ドローンの実証実験で活用されることが多い荒川にも近い。将来的には東京都心における河川上空を航路としたドローン物流の拠点としての期待もかかる。だが、三井不動産担当者は「倉庫として使用するテナント企業がドローン物流に取り組まないのなら、この施設をドローン物流の拠点として使うことはない見込みです。それよりも、都内で実証実験ができる場所として、ここを活かしていきたいと考えています」と説明した。なお、板橋DFは飛行が規制される人口集中地区に該当。たとえ実験でも、敷地内の屋外で飛行する場合は、国土交通省の許可・承認を得たうえで実施しなくてはならない。

 ブルーイノベーションの熊田貴之社長も取材に応じ「弊社のシステム開発部門が板橋DFに入居する予定です。今後は板橋DFでドローンポートの研究を進め、AGVとの連携を強化した物流用ポートの研究開発に力を入れたい。板橋DFを人と人、人と技術を結び、ビジネスを創る施設にしていきたいと考えています」と抱負を語った。