写真:リング状のLEDディスプレイ(チッカー)に表示されたメッセージ「祝上場 株式会社Liberaware」

 ドローンビジネスにおいて、今後、最も成長が見込まれているのが点検分野だ。「ドローンビジネス調査報告書2024」(インプレス総合研究所)では、点検分野は2023年度の774億円から、2028年には2,088億円へと伸長すると見込む。

小型ドローンIBISで煙突・ダクトのドローン点検を確立

 成長著しい分野で目覚ましい活躍を見せる事業者として注目を集めるのがLiberaware(リベラウェア)だ。「見えないリスクを可視化する」ビジョンのもと、自社開発した小型ドローン「IBIS」で、煙突、ダクトといった人間が実施するには困難で危険がともなう箇所の点検を行っている。また、取得した映像をもとに点検等に活用できるデータへ加工・提供するソリューションも展開する。

Liberaware、2024年7月29日に東京証券取引所グロース市場へ上場

写真:ディスプレイの前に集合するLiberaware社員
式典に訪れたLiberaware社員一同。

 同社は2024年7月29日、東京証券取引所グロース市場へ上場。同日、東京証券取引所では上場通知書贈呈式が行われた。

写真:胸元にバラの花をつけ正面を見つめる閔代表
引き締まった表情を見せる閔弘圭代表取締役(右)。
写真:上場通知書を手にした2人
青役員(右)から上場通知書を受け取る閔代表(左)。

 式典には同社の閔弘圭代表取締役ら約20人が出席。また、同社社員らも見学に訪れており、総勢で50人ほどが会場に詰めかけた。式典ではまず、東京証券取引所の青克美常務執行役員が閔代表に上場通知書を贈呈した。「貴社株式を2024年7月29日付けで本取引所グロース市場に上場しますので通知申し上げます。おめでとうございます」と青役員が挨拶。閔代表はキリッと引き締まった表情で上場通知書を受け取った。続いて、上場を祝うスクリーンや、各社の株価が流れる環状のディスプレイ「チッカー」をバックに記念撮影した。

鐘の前で木槌(きづち)を持つ2人。木槌には「上場記念」の文字と日付、社名が焼印され、持ち手には紅白のリボンが巻かれている。
一緒に鐘を鳴らす2人。
閔代表と和田取締役がともに打鐘に臨んだ。

 さらに式典は、上場を象徴するセレモニーである打鐘へ。鐘は五穀豊穣にちなみ5回打ち鳴らし、企業の繁栄を願う。1回目の打鐘を行ったのは閔代表と、技術開発部長の和田哲也取締役だ。力強く木槌を鐘に振り落とすと、カーンと高らかに鐘が鳴った。

 式典を終えた閔代表は取材に応じ、まだ上場を果たしたという実感がないというが、上場会社として「しっかりものづくりを行い、ドローン事業全体が盛り上がっていることを証明したい」と意気込みを語った。グロース市場の精密機器業での上場に関しては「我々が作っている小型ドローンはまさに精密なもの。日本としても強みだと思うので、精密機器業としての実績を作っていきたい」との考えを発表した。なお、今後の株主還元については「まずは会社をしっかり成長させ、我々がフィードバックできるような形を構築し、しっかり進めていきたい」と述べた。

 Liberawareの初値は454円。7月29日の終値は401円、出来高は387万1,800株となった。

 Liberawareは2024年6月に行われたJapan Drone 2024や2024年7月開催の国際ドローン展では、ブース内に狭小スペースを設け、IBISのデモフライトを行った。安定した飛行や送信される映像のクリアさ、取得できるデータの詳しさなどで、ブースを訪れた人々の関心を引いた。また、2024年1月に発生した能登半島地震では、IBISが倒壊した住宅内の調査に活用されたことで、自治体からの問い合わせも増えているという。