2025年3月26日、DPCAと日本無線(以下、JRC)は、一等無人航空機操縦士の技能証明取得を効率化し、高度な操縦技量を養うためのドローンシミュレーター「SKY COACH X(スカイコーチ エックス)」を共同開発したことを発表した。

写真:「8の字飛行」を再現したVR空間。屋外に配置された三角コーンやドローンポート、飛行するドローン
一等無人航空機操縦士技能試験の最終演目の一つ「8の字飛行」をVR空間に再現

 一等無人航空機操縦士の資格取得には、極めて高い操縦技量が求められ、ライセンスの交付数は2,722件(2025年2月28日時点)に留まっている。DPCAとJRCは、実技審査の基準を忠実に再現しつつ効率的に技能を習得できるドローンシミュレーターを開発。これにより一等国家ライセンス取得者を増やし、国内のレベル4のドローン運用に寄与する。

 一等無人航空機操縦士の実技審査合格を目指すことに特化した訓練用シミュレーターであるSKY COACH Xは、一等無人航空機講習の実技審査を疑似的に体験可能。審査の最終演目である「高度変化を伴うスクエア飛行」「ピルエットホバリング」「緊急着陸を伴う8の字飛行」などをVR空間に再現する。

 技術開発を担当するJRCは、1970年にフライトシミュレーターを開発して以来、実際の動きを疑似的に再現するノウハウにより国内のさまざまな自動車メーカーや研究所にシミュレーターを納めている。

 一等実技審査の監修を担当するDPCAは、これまで自治体職員・警察・消防・企業・学生などを対象に講習を実施してきたほか、主要管理団体として国の「操縦者・運航管理者の技能確保ワーキンググループ」に参画している。

「SKY COACH X」主な特長

リアルな試験環境を再現

  • 国家資格「一等・二等無人航空機操縦士」の実技審査における課題演目の練習が可能
  • 実技審査の流れを忠実に再現し、本番さながらの環境で練習
  • 修了審査員のアナウンスを再現し、実技審査時の空気感を体感

合格レベルが明確にわかる採点システム

  • ふらつきや飛行経路の逸脱など実技審査の採点基準をリアルに再現
  • 練習後に自動採点を実施、模擬実技審査ツールとして有効
  • 飛行軌跡の記録・表示ができ、合格基準の軌跡との差異を可視化

トレーニングモードで操縦スキルの維持・向上を支援

  • 技量向上を目的としたトレーニングモードを搭載
  • 資格取得後も定期的に活用することで操縦技術を維持・向上

VRモード搭載による操作のリアリティ

  • VR技術を活用し、実機操縦に近い没入感のある訓練
  • 視点の移動やドローンの挙動をリアルタイムで体感可能

 今後、物品運搬・インフラ点検など、業務用途へ特化した事前シミュレーションを想定したバージョンの開発も予定している。