2024年11月8日、Liberaware(以下、リベラウェア)は、同社の狭小空間点検ドローン「IBIS2」の放射線照射試験を実施し、高放射線環境において集積吸収線量約300Gy(グレイ(※1))での動作を確認したことを発表した。

 この試験は、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「令和5(2023)年度原子力産業基盤強化事業委託費(一般産業用工業品の放射線環境下の使用指針の整備事業)」のなかで、神戸製鋼所と進めたもの。

※1 グレイ:「もの」が単位質量あたりに放射線から受けるエネルギー量を示す単位で、吸収線量と呼ばれるもの。

神戸製鋼所と共にIBIS2の放射線耐久度を測定、高放射線環境にあたる環境での動作を確認

 試験では、2台のIBIS2を対象に、プロペラを逆向きにセッティングした状態でドローンの飛行を防止しつつ、スイッチング電源を用いたDC給電をしながら約50Gy/hの照射線量率で放射線照射を実施した。照射中は、定期的にIBIS2の動作確認を行い、ドローンが破損するまで試験を継続した。

1. 照射線量率
 55.7Gy/h

2. 動作確認方法
・照射中の監視:リアルタイム映像モニタリングと、取得ログの異常値解析
・インターバル時の動作確認:ドローンにPCを接続し、各種センサーおよびカメラの動作を確認
・対象センサー:距離センサー、気圧センサー、IMU(姿勢センサー)、カメラ(CCDセンサー)

 照射試験では、306Gy照射後の動作確認において、操作信号の受信エラーがあり、照射試験終了後のログ解析の結果、IBIS2は292Gyおよび298Gyで故障していることがわかった。一方、故障するまでの動作確認において、カメラに一部ノイズが生じたが、その他のセンサーは正常に動作することを確認した。

1. 集積吸収線量(照射時間)
 1号機 292Gy(5.24時間)
 2号機 298Gy(5.35時間)

2. センサー動作確認結果
・距離センサー:4か所(前、後、上、下)のセンサーが正常に機能
・気圧センサー:温度、気圧ともに異常なし
・IMU(姿勢センサー):加速度(3軸)、ジャイロ(3軸)の値が正常に変化
・カメラ:照射中に放射線によるノイズが見られるも、撮影には影響なし

 リベラウェアは、今回の試験で得たデータに加え、今回対象としなかった中継器のアンテナに対する追加試験の実施等により、放射線環境下での挙動を明らかにすることを検討している。また、放射線下でのドローン搭載センサーのさらなる精度向上に向けた取り組みも進めるとしている。