2024年9月30日、全国新スマート物流推進協議会は「ドローン配送約款に関する指針」を策定したことを発表した。

 EC市場の成長にともなう個宅配送の増加、エネルギー価格の高騰、環境負荷の低減ニーズなどに加え「物流2024年問題」による深刻なドライバー不足により、特に配達効率の低い地方から物流基盤の崩壊が起こることが危惧されている。

 同協議会では、買物弱者、医療弱者、交通弱者、災害対応等のさまざまな社会課題解決のため、既存の陸上配送とドローン配送の組み合わせなど、地域のモノの流れを効率化・最適化する新スマート物流を推進する活動を官民協力体制で進めてきた。

 今回、ドローン配送における「約款に関する指針」を策定・公開することで、ラストワンマイル配送にドローンを使った事業展開を検討している事業者が広く活用し、地域のラストワンマイル物流の最適化を通じた持続可能な地域社会づくりに貢献することを目指す。

 同協議会は、今後も検討メンバーを追加しながら随時内容を更新し、協議会のサイトで発表していく予定だ。

写真:家のまえに荷物を置いて飛び去るドローン
ドローンのレベル3.5飛行による個宅への新聞置き配のドローン配送(北海道上士幌町)
写真:2台のノートパソコンなどでドローンの運航を監視する人
リモートパイロットによるドローンの遠隔運航監視の様子(山梨県小菅村)
写真:建物前に停まった軽バンに荷物を積み込む様子
荷物の集約・一次保管場所かつ配送拠点であるドローンデポから、一括配送のため軽バンに荷物を積み込む様子(山梨県小菅村)

「ドローン配送約款に関する指針」概要

<目的>
ラストワンマイル配送においてドローンを活用した事業展開の推進による持続可能な地域社会づくりへの貢献

<策定背景と過程>
 ドローン配送には、規制面とサービス事業面で多くの課題がある。協議会としては、まずドローン運航の規制面から動き始め、2023年12月に国土交通省との度重なる会話を経て、ドローン飛行レベル3.5の新設に大きく寄与した。一方で、サービス事業面において「ドローン配送サービス」に関しては約款自体が存在しない状況の中、まずは「指針」を策定することを目指し、協議会B会員を中心とした「ドローン配送約款指針策定検討グループ」を組成し、検討・精査を重ね、今回の「ドローン配送約款に関する指針 version1.0」の策定に至った。

<ドローン配送約款指針策定検討グループメンバー> ※五十音順
あいおいニッセイ同和損害保険
セイノーホールディングス
NEXT DELIVERY

▼ドローン配送約款に関する指針 version1.0
https://smartlogistics.jp/wp-content/uploads/2024/09/5eeb2f7fca64daccc1c3255988ecbdae.pdf

各メンバーのコメント

あいおいニッセイ同和損害保険 常務執行役員 荒川裕司 氏

 リスクや約款づくりに関する損害保険会社ならではの知見を活用できると考え、「ドローン配送約款に関する指針 Ver1.0」の検討に参画して参りました。新スマート物流向け保険商品の開発・提供を通じて、引き続き安心・安全なドローン配送の普及に貢献して参ります。

セイノーホールディングス 執行役員 河合秀治 氏

 ドローン配送約款の指針の作成をきっかけに中山間地域の物流の効率化、自動化について、みなさんと議論していきたいです。ドローン配送がひとつの配送手段として広く普及できるように、今回は限られたメンバーでしたが、さらに多くの皆様の周知を集めることでよりよい約款に改善していければと思います。

NEXTDELIVERY 代表取締役 田路圭輔 氏

 これまでの全国各地でドローン配送を進める中で得られた知見を様々な専門家の皆様と議論し、「ドローン配送約款に関する指針Ver.1.0」として発表できたことを本当に嬉しく思います。ドローン配送が未来の地域物流を支える必要不可欠なサービスになることを強く信じてこれからもしっかり努めて参ります。