2024年9月18日、住宅デバイス共創機構設立準備室は、住宅デバイス「ドローンポートエレベーター」の事前準備のための施工基準となるプレガイドラインの策定に着手したことを発表した。

窓の外のエレベーターから荷物を受け取る様子
住人がエレベーターから荷物を受け取るイメージ

 現在、住宅デバイスは商品化前の段階であるが、デバイスが発売されるまでの間にも住宅の建設は進む。完成後の住宅が住宅デバイスに対応するためにコストをかけたり改築を行うことを避けるため、プレガイドラインでは、施工仕様のうち現時点において重要と考えられる施工の基準をとりまとめる。事前準備を行うことで、最小限のコストで住宅デバイスの実装を実現することを目的とする。

ドローンポートエレベータープレガイドライン 概要

ドローンポートエレベーターと接する外壁に所定の窓(上げ下げ窓)を取り付ける
荷物受け取り口の設置位置の選定(廊下等の開けた場所の確保)
ドローンポートエレベーターの最大外寸(W720mm×D450mm)を考慮した設計
ドローンポートエレベーター設置スペースの確保(外壁面から500mm)
制限表面(空港周辺の高さ制限)の確認 ※住宅デバイス共創機構が実施

ドローンポートエレベーター

 ドローンによる宅配に対応する荷物エレベーター。配送が想定される荷物の最大サイズはW320mm×D260mm×H200mm、最大重量は5kg(4名家族のフードデリバリーを想定)。

 現在、ドローンによって運ばれた荷物の受け渡しは、ドローンが着陸して行う置き配やウインチによる置き配、パラシュートによる降下など、さまざまな手法が検討・実施されており、戸建て住宅に対しても多様な方法が考えられる。

 ドローンポートエレベータープレガイドラインは、「空から荷物が届く」ことを想定し、エレベーター設置のための空間確保や室内への荷物引き込み口の用意を目的とする。

窓の外側から見たエレベーターの様子
受け取り用の窓までエレベーターが降りたイメージ
届いた荷物を屋内から見たイメージ

 荷物を室内に引き込むための開口部として、エレベーターを設ける位置にあらかじめ所定の上げ下げ窓を設置する。これにより、エレベーター実装時に外壁への新規穴あけ工事が不要となるよう準備する。

 建物の外壁にはエレベーターを追加可能なスペースを確保。ドローンポートエレベーターは、建物の上方から受け取りに適した高さまでを通る。隣地境界線や塀、庭木など、後から移動が困難であったり、移動費用が高額となったりするものとの距離を考慮し、エレベーター設置用の空間を確保する。

 航空の安全を確保するため、空港の周辺は高さ制限(制限表面)が設定されている。建物だけでなくドローンやラジコンなども対象となり、場所によってはドローンによる配達が困難で対応準備が推奨できないこともあるため、同機構が制限表面の影響を受けるエリアであるか確認を行う。

 プレガイドラインがハウスメーカーや工務店に求める内容は、窓の選定や設置位置に関する設計であり、現時点で施工可能なものである。準備をしておくことで、住宅デバイスが完成した際は速やかに実装できる。準備の方法を誤り住宅デバイスが使えない家にならないようガイドラインを策定し、住宅デバイス共創機構がガイドラインに沿っているかの確認と認定を行っていく。