OKUMA DRONEは、千葉市「ドローン宅配社会実装サポート事業」でエアロダインジャパンが採択された補助事業に参画し、2024年7月8日から12日の5日間にわたり、エアロジーラボと共同でドローンを用いたレベル3飛行(無人地帯における補助者なし目視外飛行)による医薬品輸送の実証実験を行った。

 実証試験では、西船橋の物流拠点から幕張までの海上ルートを往復飛行(片道14.5km)し、千葉市の高齢者施設に搬入する一連のプロセスを実証した。これにより、都市部や海上でのドローン運用における安全性と効率性の向上を確認した。

画像:地図に示されたドローンの飛行ルート
飛行ルート

 今回の実証実験では、厚生労働省の「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン(※1)」に対応するため、医薬品輸送専用ボックスを新たに開発。運送効率を高めるためウインチを使用して上空から荷下ろしを行い、時間短縮と安全性の向上を図った。ガイドラインに基づき実施することで、医薬品輸送の安全性と信頼性を確保した。

 ドローンの目視外飛行技術は、操縦者が直接視認できない範囲でもドローンの安全な運航を可能にする。高い精度が求められる医薬品輸送の成功により、医療物資の迅速かつ安全な配送が可能となり、都市部や海上などの複雑な環境でも医薬品を届けることができる。

※1 ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/001242838.pdf

実証実験 概要

・実施日時 :2024年7月10日、予備日:7月11日および12日
・出発地 :SBSロジコム西船橋支店付近の離着陸場
・目的地 :プレザンメゾン美浜(隣接する高浜庭球場で医薬品の積み下ろしを実施)
・配送物 :OTC医薬品

【検証内容】
ドローン配送による費用対効果
ガイドラインに基づく配送オペレーションの実行性
医薬品の受け渡し方法の有効性
薬局および高齢者施設職員の利便性 など

【使用機体】

写真:エアロジーラボ製「Aerorange G4-S」機体外観
エアロジーラボ製 Aerorange G4-S
形状マルチコプター型(クアッドコプター)
機体寸法(長さ×幅×高さ)1280×1280×790(mm)
飛行時間最大140分
飛行速度70km/h(今回は36~40km/hで飛行)
耐風性能15m/s
最大積載量5kg
機体重量14.3kg(乾燥重量)、19.3kg(最大ペイロード搭載時)
機体の塗色
同時に飛行させる機体1機

 今回の成功により、緊急医療や遠隔地での医療サービス提供など、地域医療の質の向上と支援が期待される。また、ドローンによる物流ネットワークの構築を進めることで、都市部や離島、山間部などの従来の物流手段が困難な地域でも効率的な物資提供が可能になる。さらに、災害発生時に迅速かつ効率的に物資輸送を行うための体制強化、より多様な用途でのドローン実装を推進するとしている。

写真:ドローンとスタッフ
実証実験に参加したスタッフ


OKUMA DRONE 代表 李 顕一 氏のコメント

 今回の実証実験は、医薬品輸送の効率化と安全性の向上に向けた画期的な一歩です。複数のドローンが協調して長距離を飛行し、目視外での精密な運航を実現することで、これまでにない迅速かつ信頼性の高い物流モデルを構築することができました。特に医療現場における緊急物資の迅速な提供が可能となり、医療サービスの質向上に大きく寄与することが期待されます。これからも技術革新を続け、社会に貢献する新しいソリューションを提供し続けます。