2024年3月29日、東北大学は、同大学タフ・サイバーフィジカルAI研究センターが開発し特許取得済みの複数ドローン着陸技術「EAGLES Port」が、風の強い条件下でのドローンの着陸性能を大幅に向上させることを確認したと発表した。

 ドローンの利用において、風の強い条件下での精密な着陸と、複数台運用時の着陸場所の確保は大きな課題であったが、従来の垂直着陸方式に代わる同技術は、安全かつ迅速な着陸を可能にし、ドローンの実用範囲を拡大するとしている。

強風下でのEAGLES Portへの着陸試験の様子

 ドローンの利用は物流、救助活動、農業など多岐にわたる。一方、風の強い条件下での精密な着陸と、複数台運用時の着陸場所の確保が課題であった。

 同研究センターは、2020年に複数ドローン連続着陸技術 EAGLES Port を開発。同技術は、ドローンが水平に着陸するためのゲート型メカニズムを備えている。ドローンが飛行の勢いを保ったまま着陸できるため、従来の垂直着陸方式では困難だった強風下での着陸が可能となり、着陸速度や精度の点でも優れることが期待されていた。また、着陸したドローンを複数台収容できるため、着陸場所の問題も解決できる。

 EAGLES Port に市販ドローンを着陸させる試験を、さまざまな条件の風を発生できる福島ロボットテストフィールドの大型風洞施設で行い、着陸速度と精度を評価した。その結果、従来の垂直方式と比較して着陸時間を平均35%短縮し、着陸精度も大幅に向上することを確認した。また、複数のドローンを用いた試験で連続して迅速に着陸できたことから、多ドローンの運用にも対応可能であることがわかった。

風のある条件(最大8m/s)で着陸に要する時間の比較。だいだい色がEAGLES Port、青色が従来の垂直着陸。左の領域の横点線が平均着陸時間を示す。 EAGLES Portは垂直着陸と比較して約35%着陸時間が短かった。
研究成果動画「次世代型自動離着陸ドローンポート EAGLES Port 」