2024年2月22日、NTT e-Drone Technology、東日本電信電話(NTT東日本)神奈川事業部は、箱根町消防本部(以下、箱根消防)と連携し、ドローン「ANAFI Ai」を用いた要救助者捜索の効果検証を実施したことを発表した。

 箱根消防は、行方不明者の捜索活動や火災発生時の消火活動における情報収集機能を強化するため、2021年にDJI製「Mavic 2 Enterprise」(以下、箱根消防従来機体)を導入している。箱根町は山間部が多く、山の起伏により送信機とドローンの間の通信(2.4GHz帯)が途絶する等により、例えば山の尾根を越えて目的となる場所まで飛行させることが難しい場合があった。

 また、上空からの映像を箱根消防の通信指令室でリアルタイムに確認し、対応指示を実施したいものの、その仕組みは導入できていなかった。加えて、政府方針に従ってセキュリティに配慮した機体の導入を検討していた。

 こうした課題は全国の消防共通のものであることから、2社は箱根消防と連携し、NTT東日本グループにおける通信インフラの災害対策のために導入が進むParrot製「ANAFI Ai」、ならびにANAFI Aiに付随して利用可能なリアルタイム映像配信等を用いて、箱根消防従来機体との比較検証を実施した。

DJI製「Mavic 2 Enterprise」
Parrot製「ANAFI Ai」

実証概要

実証日時:2024年1月26日 9:00~12:30
実証場所:神奈川県箱根町芦ノ湖西岸

【検証1】

 箱根消防従来機体では到達不可能な範囲を超えたエリア(約1km先、尾根あり標高853m)に要救助者を配置し、ANAFI Aiが到達可能か確認した。なお、ANAFI AiはLTEを通じて送信機への映像伝送・機体制御が可能なため、今回はLTE上空利用サービスもあわせて利用した。

 その結果、箱根消防従来機体では到達が難しい範囲まで、ANAFI Aiが到達することを確認した。その際、尾根手前まで2.4GHz帯を用いて映像伝送・機体制御が行われ、尾根を越えるあたりからLTEを用いて映像伝送・機体制御が行われていることも確認できた。

<箱根消防従来機体とANAFI Aiとの到達範囲の比較>

箱根消防従来機体の到達範囲(左)、ANAFI Aiの到達範囲(右)

【検証2】

 要救助者の上空からANAFI Aiが捉えた映像を、箱根消防の通信指令室を模した環境(NTT横浜ビル)にリアルタイムで映像配信し、要救助者の状態と周辺環境を確認した。

 その結果、発見した要救助者を上空から撮影し、要救助者の状態と周辺環境を確認することができた。その際、ANAFI Aiから送信機へLTE経由で配信された映像を遠隔地へリアルタイム配信できることを確認した。

要救助者を発見し、周辺環境等とあわせて確認(要救助者から85m離れた位置より撮影)
送信機画面上の映像
実証内容
実証の様子と箱根消防のコメント