2024年2月14日、愛知県は、公園と店舗が一体となった商業施設「Hisaya-odori Park」(名古屋市中区丸の内三丁目、錦三丁目ほか)において、警備、案内、清掃など都市型公園が抱える課題を7種のロボットにより解決する実証実験、名古屋市中区栄地区において自動配送ロボットの公道走行によるラストワンマイル配送を実施することを発表した。

 愛知県では「あいちロボットトランスフォーメーション(以下、ARX)」として、県内の施設でサービスロボットの実証実験やデモンストレーションを実施することで、サービスロボットの社会実装を促進する取り組みを2019年度から実施している(サービスロボット社会実装推進事業)。今回行う実証実験は、同事業の第3弾・第4弾に当たる。

Hisaya-odori Parkが抱える課題を解決する実証実験

 Hisaya-odori Parkは、日本最大級のPark-PFI(公募設置管理)事業として、名古屋市の民間事業者パートナーに三井不動産が選定され、南北約1kmにわたる公園の再整備と24棟の商業施設の設置を行っている。今回、“賑わい”と“安心安全”を創出する未来型公園プロジェクトをテーマに、7種のロボットが警備、案内、清掃など都市型公園が抱える課題の解決に取り組む実証実験を、2024年2月27日から3月2日まで実施する。同社は今回のARXを通じて公園×デジタル技術の可能性を検証し、新たな公園づくりのモデルを創出するとしている。

Hisaya-odori Park

園内警備(警備品質、警備効率、抑止効果の向上)

2月27日~3月2日
警備ロボット「Secure Taurus」​(カンブリアン・プロジェクト​)
自律走行ロボットによる公園敷地内の巡回警備を行い、人混みや雨天を含めた屋外の走行機能や来園者のロボット警備受容度を確認する。

2月29日~3月2日
3Dスキャナー搭載 自動走行ロボット(バイトム、パーソルクロステクノロジー)
自動走行ロボットが園内を走行しながら、搭載した3Dスキャナーで放置自転車の検知や園内の来場者のカウントをリアルタイムに行う。

警備ロボット「Secure Taurus」​(左)、3Dスキャナー搭載 自動走行ロボット(右)

インフォメーション・案内(困り事サポートによる顧客の体験価値向上)​

3月1日、2日
屋外対応アバターロボット(avatarin)
来園者に対し遠隔で園内や近隣エリアの案内業務を実施しながら、アバターロボットの屋外環境での走行および案内における課題の洗い出しを実施。

3月1日、2日
サイネージロボット「AdRobot」(スマートロボティクス)
50インチの大型のデジタルサイネージ(電子看板)で来園者への案内を行う。屋外での利用について、ロボットの実力を測る検証を行う。

3月1日、2日
コミュニケーションロボット「Kebbi Air」(名古屋国際工科専門職大学)
音声対話、さまざまな動きが可能な「Kebbi Air」に店舗・イベント情報をプログラミングし、知りたい内容に合わせて音声と画面表示で伝える。

屋外対応アバターロボット(左)、サイネージロボット「AdRobot」(中)、コミュニケーションロボット「Kebbi Air」(右)

屋外清掃

3月1日、2日
「GAUSIUM SWEEPER 111」(クリーンスタジオ)
走行(清掃)中に障害物や人が近寄った場合には、一旦停止・回避・ルート変更を行う。

3月1日、2日
屋外清掃ロボット「はくろうくん」(トーヨーメタル、豊橋技術科学大学)
優れた清掃能力を有する市販の搭乗式清掃機をロボット化。指定された屋外矩形領域の自動清掃実験を行う。

「GAUSIUM SWEEPER 111」(左)、屋外清掃ロボット「はくろうくん」(右)

自動配送ロボットの公道走行によるラストワンマイル配送

 貨客混載型の高速路線バスで名古屋市中区栄地区内のバス停留所まで輸送した「ウイングいちご」を、自動配送ロボットが最終配送先まで届ける公道走行実験。貨客混載型輸送の課題となっているラストワンマイル課題の解決と、自動配送ロボットの新たな活用方法の創出について検証する。

1. 岐阜県可児市で生産されるウイングいちごを、高速路線バスにて名古屋市中区栄のバス停留所まで輸送。
2. 停留所でウイングいちごを自動配送ロボットに積み替え、最終配送先(マルエイガレリア内 KW THE KITCHEN WONDERLAND)まで届ける。

実施イメージ

実施日時
2024年2月29日 14:30~16:00
2024年3月1日 11:30~13:00

自動配送ロボットの走行ルート

自動配送ロボット「DeliRo」(ZMP)

自動配送ロボット「DeliRo」(ZMP)

 幅広い用途に応じて屋内外を自動走行できる配送ロボット。ビル管理システムなど、さまざまなシステムと連携することで、デリロがエレベーターを呼び出したり、注文にあわせて荷物の配送を行うことができる。歩行者の顔を認識し、走行中に笑顔で挨拶をするなど、表情をうかべるのも特徴の一つ。

各社役割

中電ウイング実証実験主体
ZMPロボット提供・運行
東濃鉄道高速路線バスの運行
アップクオリティ貨客混載事業「あいのり便」の提供
丸栄フーズいちごの配送先