2024年2月9日、有機米デザインは、ナチュラルスタイル、井関農機と連携し、安価版アイガモロボの実証を開始することを発表した。2024年度に全国で実証実験を行い、製品化に向けた準備に取り組むとしている。発売時期は未定。

 アイガモロボは、代掻き後の水田を太陽光発電で得た電力によって自律航行し、水中を撹拌して泥を巻き上げることで光を遮るとともに、土の物理性に影響を及ぼし、水面下にある雑草の生長を抑制する。除草剤を使わずに雑草が生えにくい状態をつくることで、除草にかかる労力を削減する。

 安価版アイガモロボは、ナチュラルスタイルが開発したスマートフォン通信機能を省いた自動航行システムと、新たに開発したブラシ型パドルを搭載。抑草機能に加え、ほ場の均平、水管理、強風に対して技術向上を図っている。

 2023年に販売を開始したアイガモロボ現行機は、農研機構らと行った実証実験により、十分な抑草効果と収量の平均10%増加、機械除草回数の58%減少を確認し、全国の水田で稼働している。一方、現行機の導入には、アイガモロボに合わせたほ場条件に整える必要があった。

 今回の安価型アイガモロボは、抑草機能・生育への影響はそのままに適応条件を拡大し、スマートフォンとの通信機能を省きながら、操作の簡易化と機能向上、低価格化を図る。また、水のにごりやトロトロ層での抑草効果に加え、ブラシが水底を掻くことで発生初期の雑草を浮かせる効果も期待される。

<安価型アイガモロボの特徴>
中山間地などでも導入しやすいサイズや価格
稼働スピードを向上し、1台あたりの稼働可能面積を拡大
基本作動でスマートフォンを不要とし、操作に不慣れな人への導入ハードル低下
ほ場の必要水位や均平精度などの稼働条件を拡大
ブラシ型パドルや小型化により強風適応性を拡大
ブラシ型パドルによる推進力向上で稲の繁茂程度に関わらない安定稼働

 同社は2024年度に、さまざまな条件下での課題抽出を目的に全国で安価版アイガモロボの実証実験を計画している。早期の市場投入を目指し、有機米デザインが製品化・量産化・製造、ナチュラルスタイルが要素技術開発を担い、発売に向けた準備を進める。

 安価版アイガモロボの開発により、有機米の普及・拡大に向けた取り組みを加速させ、国が掲げる「2050年までに(耕地面積に占める)有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大する」目標達成にも貢献するとしている。