2023年11月1日、FastLabelは、AIデータプラットフォーム「FastLabel」をジャパン・インフラ・ウェイマーク(以下、JIW)に提供し、ドローンで撮影した大量のデータから、自動でインフラ点検ができるAI搭載のクラウドサービス「PQRS」のAI精度向上に貢献したことを発表した。

 橋梁や鉄塔などのさまざまなインフラ点検を行っているJIWは、ドローンで橋梁などの写真を撮影し、その写真をAIで診断することで、これまで職人が行ってきた業務をAIに置き換えていくことを目指している。インフラ設備の損傷の確認作業をAIに置き換えていくには、より多くの損傷パターンや変状の種類をAIに学習させる必要がある。熟練した経験者と同じような精度でAIが診断できるようにするには、高品質なアノテーション(※1)データを作成することが課題となる。以前はオープンソースのアノテーションツールを利用していたが、チームで品質基準を合わせながらアノテーションデータを作るための機能が充実しておらず、実作業を行うメンバーとレビュワーとの間で品質基準を合わせることが困難となっていた。

 今回採用したAIデータプラットフォームFastLabelは、新しいメンバーでもスムーズに作業を開始できるシンプルで使いやすいUI/UXを備え、ワークフロー機能により外部ツールを使用することなく、プロジェクト全体の進捗管理がFastLabel上で完結する。また、アノテーションを行ったデータ上に直接テキストやフリーハンドでコメントを配置することができ、細かい修正をレビュワーからアノテーターに正確に伝えることが可能である。

※1 テキストや画像、音声などのデータにラベル付けをする作業。

ワークフロー機能
コメント機能

ジャパン・インフラ・ウェイマーク 開発部 開発担当 風間涼太氏のコメント

 これまでは限られたメンバーで、長期間にわたって一つのアノテーションプロジェクトを実施していました。それ故に、品質基準やアノテーションルールが合わせにくかったのですが、『FastLabel』導入後は短期間でアノテーションからレビューを一気に終わらせることで、品質基準とアノテーションルールが非常に合わせやすくなったと感じています。直近のAI開発で、従来よりも少ないデータ数で高精度の結果が出るという例がいくつかあり、我々としても驚くような結果が出ています。それは単に、アノテーションデータの品質基準が揃い、品質が高くなったことが背景にあると感じています。AI分野では新しい技術が研究されていますが、高品質なアノテーションデータを大量に揃えてAIのモデルを作るというのが一番確実にAIの精度を向上できる方法だと考えています。現在、ドローンで撮影した大量のデータから、自動でインフラ点検ができるAI搭載のクラウドサービス「PQRS」を展開しており、こういうAIが欲しい、このような分析ができないかという要望を日々いただいている状況です。ですので、今後も様々なAI開発にチャレンジし、インフラ点検の業務効率化というミッションを達成したいです。