2023年7月5日、ウェザーニューズとオムロンは新型気象IoTセンサーを開発し、ウェザーニューズより「ソラテナPro」として同日発売することを発表した。

 センサー開発を得意とするオムロンと高い予報精度技術を持つウェザーニューズが共同開発した同製品は、気温・湿度・気圧・雨量・風向・風速・照度の7つの要素を1分ごとに観測する小型の気象IoTセンサー。オムロンのセンシング技術によって雨風のセンサーの性能を高めており、災害リスクが高まる雨量50mm/h、風速50m/sの大雨・強風を観測することができる。

新型気象IoTセンサー「ソラテナPro」

 ウェザーニューズは、同社のお天気アプリ「ウェザーニュース」とソラテナProを連携し、SaaS型の新たなソリューションとして展開する。これにより観測データと、天気予報や雨雲レーダー、停電リスク予測など有料機能を含むさまざまなコンテンツを、ウェザーニュースアプリ1つでシームレスに確認できる。

 また、観測された気温・雨量・風速が設定値を超えた場合はプッシュ通知することで、災害リスクの検知と迅速な対応に活用できる。パソコン版も用意しており、過去の観測データをダウンロードして当時の気象と被害状況を分析することも可能。

 ソラテナProは高性能のIoTセンサーで現場の気象を見える化し、アプリを通して気象の変化を迅速に伝えるため、農業や建築・ドローン・物流・スポーツ・電力・食品小売・アパレルなど業界を問わず企業の安全対策や生産性向上などへの活用が期待される。

観測データへのニーズの高まり

 近年、災害リスク低減に向けた対策として、企業からの観測データへのニーズが高まっている。従来型の観測機では設置の手間や予算の都合で導入が難しいことから、小型で設置しやすく安価に観測データを得られる気象センサーが求められていた。

 ウェザーニューズとオムロンは、2017年からセンシングデバイス開発で協業しており、これまでウェザーニューズにおいて、オムロンのセンシング技術を活用した小型気象センサー「WxBeacon2」を発売している。そして今回両社は、企業ニーズに応える新たなソリューションとしてソラテナProを開発した。

高性能気象IoTセンサー「ソラテナPro」

 気温・湿度・気圧・雨量・風向・風速・照度の7要素を1分ごとに観測する高性能な気象観測機。小型で設置しやすく、電源を入れるだけで観測を開始する。オムロンの高度なセンシング技術によって、雨量50mm/hの非常に激しい雨や、風速50m/sの猛烈な風まで高精度に観測できるため、災害リスクが高い大雨や強風の場合も有用だ。また、ウェザーニュースアプリと連携することで、アプリ1つで観測データを含むさまざまな気象情報を確認できる。観測データはクラウドに保存されAPIなどで提供できることから、企業は観測データをクラウド経由で取得し、自社のシステムに組み込むことも可能。

お天気アプリ「ウェザーニュース」と連携

 観測データをより手軽にビジネスに取り入れてもらえるよう、お天気アプリのウェザーニュースとソラテナProを連携。これにより、お天気アプリをそのままビジネスに活用することができる。企業アカウントでログインすると、トップページの“マイ天気”上に専用ページが表示される。

 専用ページでは7種類の観測データをリアルタイムに閲覧できるほか、過去のデータをグラフで確認することができる。また、観測値が閾値を超えた場合にプッシュ通知を行う。ユーザーは気温・雨量・風速から2要素を選び、閾値とタイトルを自身で設定。通知に合わせたアクションをあらかじめ決めておくことで、企業は大雨や強風、高温・低温を見逃すことなく迅速に対応することができる。

 雨雲レーダーや通知機能など一般向けの有料コンテンツも広告なしで利用可能。アプリのお天気コンテンツとソラテナProの観測データを同じプラットフォームで提供するため、ひとつのアプリでシームレスに確認できる。

パソコン版の専用ウェブサイト

 パソコン版の専用ウェブサイトでは、リアルタイムの実況や過去の観測データと合わせて気象情報を提供する。ユーザーは月や日付を指定して、日ごと・1分ごとの観測データをグラフで確認できる。設置日以降の観測データは全てクラウド上に保存されており、CSVでのダウンロードが可能。

 さらに、雨雲と風向・風速について24時間前までの過去データと72時間先までの予報をマップで表示。観測データと被害状況を照らし合わせて分析する場合や、事務所などのモニターに表示して監視する場合などは、パソコン版専用サイトが適している。

 なお、アプリ・パソコン版の利用料はソラテナProの月額料金に含まれており、ソラテナ1台につきアプリのアカウント3つまで無料で付与する。

観測データの活用例

農業分野
 強風時に野菜が倒れていないか、ビニールが飛ばされていないかなどを見回る目安。

建設・建築の現場
 雨による高所作業やコンクリート打設など工事作業の可否判断、クレーン作業時の強風対策、作業員の熱中症対策。

ドローン飛行
 正確な風速を把握することで、飛行場所が都度変わるドローン物流を実現。

キャンプ場
 敷地内に設置して風速を監視することで、キャンパーのたき火による火事防止。

体育の授業や運動会
 生徒の熱中症対策。

動物園や花火大会、マラソン大会
 スタッフ・来場者・スポーツ選手の暑さ対策。

電力市場
 日射計がない太陽光発電所に設置して、ウェザーニューズが照度をもとに算出した推定日射量を提供することもできるため、発電事業者は太陽光発電量予測に取り込んで精度向上に生かしたり、実際の発電量と比較して発電所の故障の判定に用いることができる。

スーパーマーケットなどの食品小売やアパレル
 天気や気温によって来客数が変化するため、店舗の外の天気を把握することで適切な人員配置や需要予測に応用。観測データをシステム連携させることで、外の天気と連動するサイネージやアプリでのクーポン配布など、デジタルマーケティングも可能になる。

「ソラテナPro」製品仕様

製品名「ソラテナPro」(オムロン形式: 2KW-0001)
寸法(縦×横×高さ)約125mm×125mm×267mm
本体重量約1kg
観測データ7要素:
気温・湿度・気圧・雨量(mm/hに換算)・風向・風速・照度
観測頻度1分ごと
測定範囲気温:-20~50℃
湿度:0~100%
気圧:600~1100hPa
雨量:0~50mm/h
風向:0~360°
風速:0~50m/s
照度:150,000 lx
消費電力1.5W(平均値)
電源電圧AC100V / DC5V~DC12V
付属品電源ケーブル(AC版12m / DC版4m)
通信IoT SIM