2023年6月26日、エバーブルーテクノロジーズ(以下、エバーブルー)は、無人で自動航行可能な水上ドローンAST-181の新たな新モデル「AST-181LT」をリリースした。販売希望価格(参考価格)は、税別350万円、発売時期は2023年秋頃を予定している。
AST-181は、2機の水流ジェットにより浅瀬や岩礁地帯で運用ができ、波の高い荒れた海でも航行可能なパワーを持つ高機動性から、多様なニーズに対応する。今回新たに設定したAST-181LTは、AST-181の高機動性、パワー、耐候性に加え防水カメラを標準搭載。5.5インチ液晶ディスプレイを備えたコントローラーで、リアルタイムに機体周囲を映像により確認できるFPV機能を追加したモデルとなる。
海上警護や不審船、密漁船の見回りや、海水浴場、サーフスポットなどにおける要救助者の捜索・救助、河川やダム湖での護岸、橋脚の見回りなどの水上調査などを遠隔で行うことが可能となり、海や河川などでの安全に寄与するほか、業務の省力化、コストダウンにも貢献するとしている。
例えば、水上のアクティビティは、落水などの水難事故のリスクを伴う。落水はライフベストを装着していても低体温症など別の要因で命を落とす危険性があり、速やかな救助が求められる。
一方、水難救助を防止するための救助船の水上待機は有人艇で行うことが一般的で、人手不足とコストの面から運用が難しいことが多くあるという。AST-181LTは本体に搭載した防水カメラで周囲を撮影、遠隔操縦者はリアルタイムで映像を確認することで、無人での水上待機が可能。流された要救助者の発見など、いち早い救護対応を行うことができる。
オートナビゲーション機能によりあらかじめ設定したルートを回遊する見回りや、定点保持機能で持ち場から動かずに長時間水上待機も可能。全長1.8mと小型のため、母船に搭載または曳航(えいこう)することで、沿岸部だけでなく近海でも活用できる。
高機動型水上ドローン「AST-181LT」概要
5.5インチ液晶ディスプレイを装備したコントローラーと本体搭載の防水カメラにより、映像をリアルタイムで確認しながら遠隔操縦と自動航行ができる高機動型水上ドローン。
【FPV機能】
本体に搭載した防水カメラにより周囲の映像をリアルタイムで手元のコントローラーの画面に表示し、映像を確認しながら遠隔操縦や自動航行による見回り、水上待機を行うことができる。コントローラーのHDMI出力端子から外部大型モニターへの接続も可能。カメラが備えた2つのLEDライトにより、周囲を明るくしたり自船を目立たせたりすることで安全性に寄与する。
【自動航行】
コントローラー内蔵アプリ「QGroundControl」は、経由地(ウェイポイント)を設定してオートナビゲーションを行ったり、定点保持、スタート地点に自動的に戻るRTL(Return to Launch)などの機能を備える。
【遠隔操縦】
技適対応した2.4GHzコントローラーは数百メートルから3km程度の遠隔操縦、テレメトリーが可能。沿岸部や母船の周囲を広くカバーする(通信距離は電波状況、海況によっては短くなることがある。操縦の際は目視できる範囲での使用を想定している)。
「AST-181LT」機体スペック/機能概要 | |
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形状 | モノハル:セールN/A |
全長 | 1.8m |
全幅 | 0.7m |
全高 | 0.6m |
船体重量 | 57kg |
装備重量 | 90kg |
最高速度 | 35km/h |
巡航速度 | 15km/h以上(滑走時) |
航続距離 | 12km(最高速度時) |
最大牽引力 | 68kg(釣り用小型ボートのような一人乗りゴムボート程度) |
稼働時間 | 20〜480分(使用状況による) |
バッテリー | 48V 35A |
推進方式 | 電動水流ジェット×2機 |
安全性能 | ・人に危害を加えにくいプロペラ完全内蔵 ・突起物がない船体 ・転覆しても自動復元する船体構造 |
自動操船ユニット「eb-NAVIGATOR2.0 LT」機能概要 | |
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GPS、RTK GNSS対応 | 誤差1m以下(最小数cm) |
通信方法 | 2.4GHz |
操作方法 | 専用コントローラー |
オプション | 障害物検知センサー |
「QGroundControl」機能概要 ※オープンソースソフトウェア | |
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・テレメトリー機能 ・地図表示(要インターネット接続)、位置表示、GPS数、傾き ・遠隔カメラ映像表示 ・マニュアル操縦機能 ・経由地(ウェイポイント)設定、自動操縦機能 ・RTL(Return to Launch)機能 ・位置保持(Loiter)機能 |