2023年6月9日、建設技術研究所、日本空港コンサルタンツ、空港施設、AirXは、沖縄県伊平屋島における空飛ぶクルマの試験飛行に成功したことを発表した。

 6月7日に実施した同試験では、沖縄県伊平屋村の米崎キャンプ場から海を隔てた野甫港までの海上2地点間、往復約2kmを空飛ぶクルマが飛行した。従来の飛行試験は限定的なエリア内で実施されてきたが、今回の試験飛行は離島などにおける本格実装に向けたものとなる。使用機体は「EHang216」。動力は電力、航続可能距離35km。

空飛ぶクルマが飛行する様子
「EHang216」(AirX所有)

 今回の試験飛行を通して4社は、以下の事項を検証した。

1. 海上を含む2地点間飛行を行った際の運用上の課題等を把握すること。
2. 空飛ぶクルマの離着陸場の計画、設計に関する知見を得ること。
3. 空飛ぶクルマの離着陸場の運用を検討するに必要となるデータを取得し、課題を把握すること。
4. 空飛ぶクルマの環境負荷(騒音等)を把握すること。
5. 空飛ぶクルマの導入による社会的効果を試算すること。

 今後、全国各地で実証実験の実施や商用運航の可能性を検討していく等、空飛ぶクルマの社会実装を通して社会課題の改善・解決や新たな価値の創出を目指すとしている。

 空飛ぶクルマは、陸に比べて活用が進んでいない空での移動を担う新モビリティであり、普及が進めば都市部での渋滞緩和、CO₂排出削減といった社会課題の解決に寄与するものとして期待されている。日本では「空の移動革命に向けた官民協議会」が中心となり、2025年の大阪・関西万博をひとつのマイルストーンとして、空飛ぶクルマの社会実装に向けた取り組みが官民一体となって進められている。

会場の様子
各社の役割
建設技術研究所・空飛ぶクルマのビジネスモデル検討
・空飛ぶクルマの飛行に際しての騒音、風速の計測・評価
・空飛ぶクルマの社会的効果の試算
日本空港コンサルタンツ・プロジェクト全体取りまとめ
・空域設計、離着陸場の仕様検討・設計(灯火を含む)
空港施設・離着陸場の運営・運用に関する検討
・付帯施設・設備に関する運用検討
AirX・空飛ぶクルマの機材提供
・運航および安全のオペレーション
・予約システム・チェックインシステムの検討