2023年3月7日、センシンロボティクスとENEOSは、自動航行ドローンを活用した配管点検データ取得技術を共同開発し、ENEOS川崎製油所で導入を開始したことを発表した。

 両社は約3年にわたり配管点検データの取得に関する検証を行い、開発を重ねてきた。今回開発した技術では、配管検査として撮影を行うドローン航行の自動化を図ることで、撮影品質の均質化と検査実施者の操縦技術への依存低下が可能となった。

 製油所内には膨大な数の配管があり、重点箇所を中心に日々検査が行われているが、近年では設備の高経年化に伴い、従来以上に検査の重要性が増している。また、熟練エンジニアの退職に伴う世代交代における技術伝承の難しさなどの課題もある中で、不具合発見の遅れは設備停止や計画外修繕に至る場合もあり、設備保全費用の増加や設備保全担当者の負荷につながる。

 これら課題の解決手法としてドローンの活用が注目を集めている一方、操縦技術を備える人材を育成するためには時間やコストが発生することから、導入にあたってのハードルが高くなる。

 自動航行ドローンは、操縦者の技量によらず、対象物に対して同一ルートで航行させられることから、均質な撮影データの取得が可能となり、過去データとの比較を容易に行うことができる。また、従来はドローンの航行ルートを人が指定することが大半であったが、今回開発した技術では、障害物・危険区域などを考慮した上で、ソフトウェアがドローンの航行ルートを自動で算出・作成する。これにより、誤って航行ルートを危険区域に設定するなどのヒューマンエラーを防ぐことができ、より安全な航行を実現する。

 今後、同技術を2024年3月末までに、ENEOSの7製油所(仙台、鹿島、根岸、堺、水島、麻里布、大分)へ導入することを予定している。取得した配管点検データを基に配管の劣化傾向の定量的な把握が可能となり、劣化予測や最適な保全計画の立案につなげ、点検業務におけるDXの実現を目指すとしている。