2023年1月31日、Liberaware(以下、リベラウェア)は、製造請負や保守メンテナンスサービスなどを提供するウイルテックに、リベラウェアが開発する屋内空間専用の産業用小型ドローン「IBIS」を導入したことを発表した。

(写真左から)ウイルテック カスタマーサービス事業部 部長代理 森元達也氏、ウイルテック 取締役 西隆弘氏、Liberaware 池田愛美氏、ウイルテック カスタマーサービス事業部 谷合拓也氏。

 製造請負・製造派遣をはじめ、機械・電子系技術者派遣、保守・メンテナンスサービスなどを提供するウイルテックでは、2022年から保守・メンテナンスサービスの一環として、IBISを使った点検サービスに取り組んでいる。

 同社では製造業の請負サービスを提供していることから顧客にメーカーが多く、工場の高所にあるクレーンも含めた設備や計器の点検において、これまでは点検者が高所に上って作業をしていたという。こうした作業をドローンに置き換え、さらには天井裏や広く構内といった屋内全般の点検へ活用するためにIBISを導入した。

 IBISによりバイオマス工場の炉内、大規模なペデストリアンデッキなどの点検を行うことで、天井裏や床下といった人による目視点検では難しかった箇所の点検を可能にし、点検作業の精度向上や人的リスク低減につながったという。

 同社でIBISを使ったサービスに取り組む谷合氏は、通常はリベラウェアがIBISユーザーに提供する基礎的な講習を受講するところを、3カ月間リベラウェアに出向して狭所点検サービスの業務に従事し、操縦スキルを身につけた。そこには、同社がリベラウェアのサービスプロバイダーという位置付けになるという狙いがある。IBISをレンタルして点検サービスを行うだけではなく、アフターサービスのノウハウを生かして、ユーザーが使っているIBISが壊れたときの修理、量産化が進んだ際のOEMやヘルプデスクといったサポートなどの提供を考えているという。

IBISを飛行させる谷合氏

 現在同社は自動搬送ロボットを提供しているが、将来的にはドローンと地上を走るロボットを組み合わせることで、例えばロボットがドローンを運び必要な場所でドローンが周囲を撮影する棚卸など、人の手で行っている定期的な業務をDX化することを目指す。

 同社ではすでにIBISによるサービスを実施する人材育成として、神奈川県の拠点で操縦訓練などを実施しており、今後は大阪府吹田市に開設したプロジェクトデザインセンターでもIBISを使った実証や人材育成を行うとしている。

ウイルテック 取締役 カスタマーサービス事業本部長 西隆弘氏のコメント

 IBISを使った点検の対象となる施設や工場は地方にあり、今後、IBISを使った点検を普及させていくには、ドローンを扱う人材のローカライズが求められる。すでに我々と一緒にサービスを提供しているパートナー企業が全国にあり、そうしたパートナーにノウハウを広げていきたい。さらにリベラウェアのようなドローンメーカーにはますます技術開発に注力してもらっていいドローンを作ってもらうために、点検サービスや量産化されたときのリペア、レンタルしている顧客に対するヘルプデスクといった外回りのアフターサービスを我々が手がけていきたい。

産業用小型ドローン「IBIS」

産業用小型ドローン「IBIS」

 リベラウェアが開発した国産ドローン。直径約20cm、重量185gと小型な機体で、一般的なドローンでは困難な屋内・狭小空間でも飛行ができる。

サイズ191×179×54mm(プロペラガード込み)
重量185g(バッテリ込み)
装備類・超高感度カメラ
・LED照明
・防塵用モーター
・独自設計のプロペラ 他