2023年1月17日、ACSLは、小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」に取り付け可能なマルチスペクトルカメラを用い、ゴルフ場の芝における植生調査を行う実証実験を実施し、成功したことを発表した。

ゴルフ場の芝を撮影する「SOTEN」

 ゴルフ場では、グリーンや芝生の環境が常に整えられている状態が求められるため、管理者が日々コースを見回り芝生のコンディションなどを確認する必要がある。人手による作業のため、作業の効率化や芝生の生育状況のデータの蓄積に対してニーズがあったという。

 植物などの生育状況については、植物による光の反射の特徴を生かし簡易な計算式で植物の量や活力を把握する植生指数を、衛星画像を用いて求める手法が研究されてきた。代表的な指標として、NDVI(正規化植生指標)がある。数値は-1~1の範囲で表され、-1に近いほど植生は悪く、1に近いほど植生は良いとされる。

 しかし衛星画像の場合、1ピクセルの大きさがメーター級の地上画素寸法(1ピクセルに対する地上の寸法)になり、雲に覆われた場合や衛星の軌道によっては画像データが得られないという課題があった。一方、ドローンを用いたデータ取得では1ピクセルの大きさがセンチメートル級となり、曇天時でも撮影が可能である。

 今回の実証実験では、近赤外画像撮影によりNDVI測定可能なマルチスペクトルカメラをSOTENに搭載し、以下の手順で撮影した画像により芝の植生調査が可能か検証した。

1. 飛行ルート作成画面の航空地図上に対象エリアを設定

2. 撮影パラメータを設定
・オーバーラップ(フロントまたはサイドのラップ率、今回は共に75%に設定)
・グランドレス(1ピクセル辺りの長さ、今回は4cmに設定)
・調査前/内の速度(調査範囲外と内の飛行速度、今回は共に4.5m/sに設定)

3. 設定された自動飛行の経路に従って撮影飛行

航空地図上に表示される青色の多角形ツールで調査したいエリア囲うように設定
撮影パラメータの設定

 SOTENで撮影した各バンドの画像を、Pix4D Mapperを使用してNDVIのオルソモザイク画像へ処理すると、NDVIが-1に近いほど赤く、1に近いほど緑に表示される。こうしたデータを継続して蓄積していくことで、芝の生育・維持管理に活用できる可能性があるとしている。

撮影した各バンドの画像をNDVIのオルソモザイク画像へ処理した結果