2022年11月8日、A.L.I. Technologies(以下、A.L.I.)は、米国製自律飛行型ドローン「Skydio」の販売を開始したことを発表した。

 Skydioは機体上下に備えた6つのカメラを使って得た映像データから、機体の位置や姿勢、周辺の物体の位置情報を三次元で把握する技術(Visual SLAM)によって、ドローン自らが障害物を回避しながら飛行する。そのため非GPS下の環境や、既存のドローンでは近づけない狭隘部も安全に飛行することができ、橋梁を始めとしたインフラ構造物の点検ツールとして期待されている。

 A.L.I.はインフラ構造物の点検業務の需要拡大を踏まえ、UAV・ドローンを使った点検・測量を行う専門チームとして、エアモビリティ第三本部(ドローン)事業開発ユニット直下に「土木サブユニット」を2022年4月に設立。ドローンの専門家、橋梁や測量の知識を有する人材で構成されており、Skydio社からの代理店承認を得る前から現場でSkydioを使ってきたという。

 2019年に橋梁の点検要領が改正され、5年に1度の橋梁点検が義務化された。国内には70万以上の橋梁があるため、年間点検数は14万橋梁に及ぶ。同社は急拡大するUAV点検市場に対応し、全国の橋梁点検に注力するため、Skydioの機体販売を通じて全国に協力パートナーを増やしていくとしている。

 また導入支援サポートとして、機体販売と併せて購入者にはSkydioの導入講習を実施する。顧客に合わせて飛行申請から航空法などの座学、Skydioの飛行方法までサポートを行う。

 Skydioを使った橋梁点検の実践研修も実施し、土木業界における服装や振る舞いなどの基礎的な点検現場での作法から、橋梁点検における撮影・操縦技術、衝突パターンの独自講習、管理者(発注者)とのコミュニケーション方法、ドローンオペレーター以上のスキルとノウハウを持つ橋梁点検における「管理操縦士」になることができる講習を提供する。

Skydio講習の様子

 同社は今後も機体販売だけではなく、Skydioを使ったさまざまなユースケースを創出するとしている。橋梁点検のほか、法面や水管橋など多くの分野でSkydioの活用方法を提案し、Skydioが活用できる環境整備にも注力していく。

Skydio 製品について

Skydio 2+

 AIによる自律飛行技術、360°障害物回避機能を搭載しており、従来のドローンでは飛行が難しかった場所においても飛行が可能。Visual SLAMにより構造物を正確にさまざまな角度から撮影できるため、Skydio 3D Scan機能を用いて3Dモデルの生成が行える。全長223mm×全幅273mm×高さ74mm、重さ800gと軽量コンパクトな機体で、4K動画、1200万画素の画像撮影が可能。最大飛行時間は27分。

Skydio 2+

Skydio X2

 Skydio 2+と同様に、AIによる自律飛行技術、360°障害物回避機能を搭載。エンタープライズ向け製品としてマグネシウムと炭素繊維を使用した堅牢な機体設計や、運搬性を高めるために折り畳み式を採用している。Skydio 2+と異なり通信は高度に暗号化され、サーマルカメラ搭載モデルもあることから、防衛・公安分野において利用されている。最大飛行時間は35分。

Skydio X2