A.L.I. Technologies(以下、A.L.I.)は、仙台BOSAI-TECHイノベーション創出促進事業である「官民共同によるドローンを活用した港湾設備などの遠隔点検・監視」に採択され、2022年3月2日~4日、同社で開発するドローン運航管理・制御システム「C.O.S.M.O.S.(コスモス)」を実務において活用できるか、その有効性評価を丸紅と共同で行った。

 宮城県仙台市は東日本大震災で甚大な被害を受けた自治体の一つであり、その経験から防災の重要性やどう対応していくかという協議を積極的に行っている。防災意識の高さから、2012年には国連防災機関によって防災ロール・モデル都市に認定されている。こうした中、防災事業を産業面から振興を推進するため仙台BOSAI-TECHが開始された。

 実証実験では、港湾施設の点検・監視を主題に、C.O.S.M.O.S.を使用してドローンからのリアルタイムな情報確認・遠隔操作を行い、運航管理システムの意義や有用性、ドローンからの映像の実用性を実証した。

 実施場所は、仙台塩釜港湾事務所港湾道路。飛行は、高度60mで自動飛行ルートをあらかじめ設定した。
 ルート上に車両2台が絡む車両事故を模した現場を1カ所、路面に亀裂が走る1カ所を配置し、計2カ所の上空で事故の詳細を確認するために停止、高度40m付近まで下降して現場状況を確認する操作を行った。
 自動飛行中の現場上空での停止指示と、カメラジンバルの操作はC.O.S.M.O.S.上から行っており、実践的な内容での実証と効果測定に成功した。

 実証の結果、ストリーミングされたC.O.S.M.O.S.の画面上からも、発煙筒の煙が確認できた。しかし路面の亀裂は、より高度を下げなければ確認できないことがわかり、運用方法や映像伝送のシステム面の新たな課題が明らかになった。

 今回の主題である点検・運用の場において運航管理システムが活用できるかという点については、現場に人員を配置せずドローンが運用できるC.O.S.M.O.S.の利便性、監視業務だけではなく防災活動など幅広い業務に活用できる実用性を確認した。

 A.L.I.が開発した運航管理システムC.O.S.M.O.S.は、ドローンの複数台の一元管理、自動航行の設定が可能。現場だけでなく、バックオフィスからもリアルタイムで機体情報および運航状況の確認や、ドローンの飛行場所・航行ルートの指示が可能である。
 今回の実証で行った停止操作やジンバル操作のように、システム上からドローンを操作できるという特徴を備えており、バックオフィスから直接ドローン操作を指示できる。そのため、異なる現場・ドローンの管理を1システムで行えるほか、その1つ1つに操作指示を与えられることで、指示系統の一本化や飛行にかかる人員の削減、飛行・運用の効率化を図ることができる。

 同社はC.O.S.M.O.S.を活用し、各団体の中でのドローン管理の効率化のほか、各種公共・インフラシステムのスマート化も積極的に推進していくとしている。