マゼックスは、住友林業と共同開発した林業用苗木・重量系資材運搬ドローン「森飛25」を、2022年9月14日に発売する。

 両社は林業用苗木運搬ドローン「森飛」を共同開発し、2020年2月に発売。約50台を販売してきた(2022年8月末現在)。林業でのドローン利用拡大に伴い、苗木だけでなく重量系資材も運搬したいという要望を受け、最大運搬重量が従来機の約2.5倍となる森飛25を開発した。動力性能や新たな仕様を追加したほか、フライトコントローラーをアップグレードしたことでGPSの捕捉数が増え、機体の安定性を保ち強風による作業遅延のリスクを軽減する。

 また、機体1台に対して2台の送信機で操縦を行う2オペレーション方式を採用。見通しの悪い場所でも目視内で安全に作業することが可能となり、荷下ろし場にいるオペレーターが自由に荷下ろしポイントを決めることができるため、運搬後の作業効率も向上するとしている。

 なお同社は、東京ビッグサイトで開催される「次世代森林産業展(FORESTRISE 2022)」において、実際の機体を展示する。

林業用苗木・重量系資材運搬ドローン「森飛25」

各社の役割
住友林業・ドローンを林業分野で活用した実証試験の企画と実施(実施フィールドの提供、現地関係者調整)
・林業事業者へのドローン活用の提案
マゼックス・林業用ドローンの開発および運搬装置の開発(ドローンの仕様設計、運搬全般)
・実証実験への協力
・林業用ドローンの販売

「森飛25」主な特徴

・低温対応型バッテリー
 林業の場合、標高が高く、冬場は特に気温の低い場所での作業が多いため、バッテリーが不安定な状態になり飛行時間に影響が出る。低温対応型バッテリーを導入することで安定した電圧出力を維持し、飛行時間を確保する。

・「切り離しフック」と「共振防止装置」
 従来機でも導入した「切り離しフック」と「共振防止装置」を引き続き採用。
 切り離しフックは、運搬物を地面と設置させるだけで切り離すことができるため、機体下部で人力により運搬物をドローンから切り離すという危険な作業が不要になるほか、重い荷物を運ぶ際の落下防止にもつながる。
 ワイヤーと運搬物の間に共振防止装置を装着することで、機体の墜落防止や安定飛行を実現。最大重量25Kg以上の飛行許可が国土交通省から発行された。

・RTKを利用した自動飛行機能(オプション)
 地上に設置した基地局からの位置情報データによって高い精度の測位を実現するRTK(リアルタイムキネマティック)を活用した自動飛行機能をオプションで導入可能。衛星を利用した位置情報データ(GPS)の場合、最大2m程度の誤差が発生する場合があるが、RTKを導入することで位置情報データの誤差は数センチレベルに抑えられる。
 また、山間部ではGPSの捕捉数が少なくなり不安定になる可能性があり、RTKの導入により信頼性の高い安全な飛行を実現する。自動飛行することで操縦時の機体動作のロスがなくなり、バッテリー効率の向上にもつながる。

両社コメント

 国内森林は高齢化と再造林の放棄という問題を抱えています。木を植え、育て、伐って、利用し、また植えるという循環型森林経営をする上で林業現場での安全性の向上と労務負荷軽減は大きな課題です。課題を解決する手段の一つが林業用ドローンで、当社はマゼックス社の協力を得ながら開発と実用化を進めてきました。今後も林業用ドローンの活用を含めたスマート林業を進め、持続可能な循環型森林経営を進めていきます。

住友林業 資源環境事業本部 山林部

 2020年2月に林業用ドローンを発売開始以降、林業分野でのドローンのニーズを非常に強く感じています。単純に作業機器としての林業用ドローンの提供ではなく、林業用ドローンを活用していただく事で、人手不足による植栽放棄地の削減、林業における新たなビジネスチャンスの創出、日本のその結果として林業、そして日本の森林を変えるパートナーを我々は目指していきます。

マゼックス 代表取締役社長 松添正征氏