2022年3月3日、マゼックスは、農薬散布ドローン「飛助MG」(農林水産航空協会認定機)の新型モデルの販売を開始することを発表した。「日本の圃場で本当に役立つ機体」をコンセプトに開発された同機は、マゼックスのオリジナル制御装置を搭載し、前モデルに比べて大幅に性能が向上している。価格は84万円(税別)から。
飛助MG・DXは、2018年1月(MGは2018年7月)に販売を開始。飛助シリーズの累計納品実績は2021年に1,600台を超えている。同社では、ユーザーからのフィードバックを機体に反映し、日本国内において使い易い機体を念頭に開発を行っている。
オリジナルのフライトコントローラー
これまでは既存の制御装置を使用していたが、今回、使いやすさを重視したオリジナルフライトコントローラーを開発。耐衝撃性を備えたプラットフォームと3つのIMU・2つのCPUとバロメーターで構成され、処理能力と飛行安定性を向上させた。ホバリングの精度が上がり、飛行中の高度維持や姿勢制御を精密に行うことで、操縦者の負担を軽減する。
GPSの補足数を増やすことで、GPSのロストも大きく低減。また、従来の直進アシストモードや自動飛行モード、連動散布を備えるほか、散布のタイミングなど任意での細かい調整も簡単になった。
オリジナルバッテリーによる最大2haの散布能力
日本国内では1箇所あたり50a以下の圃場が多く、効率的に運用するためには飛行時間が課題であった。そこで同社は国内で最も使用される圃場面積を基本にバッテリーの容量や成分を設定した、マゼックスオリジナルバッテリーを搭載。さらにモーターとESCを変更して飛行電力消費量を削減し、飛行時間を大幅に向上させた。
その圃場に必要な量だけの薬剤を搭載して散布し、圃場を移動するタイミングで薬剤を補充することで、1つのバッテリーで最大16Lの散布が可能となる。1つのバッテリーで2ha散布できれば、その分だけ運用するバッテリー本数が抑えられる。
粒剤・肥料散布装置を改良
より均等に散布できる粒剤・肥料散布装置を開発。薬剤はタンクの蓋を開け簡単に補充でき、バッテリーもタンクの上に乗せるだけと、従来機と同様の手軽さだ。吐出量やインペラーの回転速度は送信機で操作でき、詰まりなどのトラブルを減らすため、吐出口も大幅に改良した。
従来までは1キロ剤専用の粒剤散布装置であった構造の内部をアタッチメント式に変更。1キロ粒剤だけでなく、肥料や豆つぶ剤(直径1~5mmの粒形で乾燥している固形物)まで対応する。アタッチメントを装着することで1キロ粒剤を精密に散布することができ、アタッチメントを外せば5~10㎏/分の吐出量となる。
つまみを押すだけでタンクの脱着が可能。この構造は前モデルのプロペラの固定に使用されていたもので、信頼性と利便性が高い機能となる。液剤散布装置も同じ機構のため、粒剤散布装置への交換も数分で完了する。
これまでオプションで提供していた液剤散布装置や粒剤散布装置内部の残量警告を標準装備。機体本体に取り付けられたLEDで残量を通知する。
また、より多くの作物に対応できるよう、吐出チップの変更も可能となった(0.8~2.0L/分)。
直感的に扱える障害物・高度維持レーダー
操作を容易に行えるよう、タブレットを使用しないで直感的に扱える、障害物・高度維持レーダーを開発。本来であれば送信機に付属するタブレットを使って調節するところを、維持したい高度に合わせてスイッチを押すだけで設定が完了する。これにより、作物の種類や風の強さに応じてタブレットを調整することなく散布高度を変更でき、変更したい場合も再度スイッチを押すだけとなる。