2021年11月24日、住友林業、損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)、SOMPOリスクマネジメント(以下、SOMPOリスク)、トルビズオンは、愛媛県新居浜市でドローンによる物資運搬実証実験を行ったことを発表した。

 住友林業は国土面積の800分の1に相当する社有林を保有・管理しており、森林の新たな価値創造を目指す取り組みの一環として、NSi真岡、NTTドコモ、マイントピア別子の協力のもと、社有林上空を航路としたドローンによる物資運搬を実施した。

 実証実験は、2021年6月9日に愛媛県新居浜で実施。現地のドローンを東京から遠隔で運航操作し、マイントピア別子から東平(とうなる)区間を往復した。マイントピア別子発の往路では食品(弁当)、東平発の復路はマイン工房の銅製記念品を運搬した。検証項目は以下の3点である。

1. 起伏に富む森林環境下での長距離ドローン運航と、定期航路化に向けた各種課題の具体化と解決に向けたリスクアセスメント。

2. ドローンの利用拡大に向けて、SOMPOリスクとNSi真岡が新規開発したLTE通信によるドローン運航コントロールシステム(オープンソースのフライトコントローラにも対応が可能なマルチプラットフォームをベースとしたシステム)の各種機能の検証。今回は産業用ドローンとして最新の高機能機に拡張機能用小型PCを搭載し、全行程の運航をLTE通信制御で実施。

3. 超長距離での遠隔操縦実用化に向けた試験として、東京の住友林業本社会議室から愛媛県新居浜市のドローンに対し、NTTドコモのLTE回線を使用して実施。遠隔地における飛行経路の設定とアップロードをはじめ、現地の機体情報や運航安全面の状況を監視しながら、実行指示や一時停止ならびに再進行など一連の運航操作を行った。

 実証実験では、陸路で30分以上かかる道のりを空路で10分以内に到達し、「ドローンの超長距離間における遠隔飛行制御と運航監視」技術を実証した。万が一事故が発生した場合でも、損保ジャパンのドローン保険により安心な運用が可能だという。ドローンを制御する電波(2.4GHZ)は山林の険しい環境下では短い距離しか届かないが、LTE回線を活用すればより広範な通信環境を整えることが可能だ。

オペレーションフローイメージ

 同実証実験の結果を踏まえ、森林上空における空路設置の在り方や森林整備なども含めた活用への拡大、およびそれらに関するリスクアセスメント手法の開発などを目指す。また今後は、森林上空飛行の技術やルール整備、社会実装を推進し、環境調査、山間部過疎地域での物流、自然災害時における山間部の災害調査やヘリコプターが対応困難な支援物資の緊急輸送などに取り組むとしている。

実証実験の様子(ソラシェア・ドローン大学 YouTubeチャンネル)