2022年6月21日、NTTドコモ(以下、ドコモ)は、Skydio社の自律飛行型ドローン「Skydio 2」「Skydio 2+」「Skydio X2」で撮影した映像をリアルタイムに多拠点の遠隔地から確認できる映像伝送サービス「Skydio Streaming」の提供を、自治体や企業向けに開始する。

 これまでは撮影後に機体から手動でデータを抜き出す必要があり、撮影データの確認やデータ共有に時間を要していた。災害時などは一刻を争うため、リアルタイムに映像を伝送できるサービスの要望を多く受けていたという。

 同サービスにより、PCのブラウザからSkydio社のドローン管理サービス「Skydio Cloud」にアクセスすることで、ドローンが撮影している映像を遠隔地からリアルタイムに確認することが可能となる。

「Skydio Streaming」サービスイメージ

 まずは、2022年6月21日より「docomo sky」(ドコモのドローン事業)のサービスメニュー「技術検証」として受付を始め、2022年8月以降にプロダクトメニュー「オプション」として提供を開始するとしている。技術検証では、顧客が希望する場所で同サービスの有用性を検証し、想定される業務に向いているかを事前に確認できる。

 このサービスにより、災害現場など人の進入が困難なエリアの状況を、遠隔地にある災害対策本部や事務所から安全かつ迅速に把握することが可能となる。関係者間の迅速な情報共有が期待される。また、全方位の障害物を検知する自律飛行技術や、GPSが取得しづらい環境での安定飛行技術により、災害時の橋梁下など、従来ドローンを利用した被災状況の確認が困難であった場所でも飛行できるため、幅広く現場の状況確認が行える。

 2022年5月に実施した岐阜県多治見市の国土交通省 中部地方整備局 多治見砂防国道事務所での実証実験では、砂防えん堤やその上流の渓流をドローンで上空から撮影し、離れた事務所内の会議室より映像を見ることで、災害時などの状況確認を行う場合の有用性を確認した。これにより、遠隔地からの作業指示や状況の共有、効率的な点検業務が可能となる。

ドローンで撮影した砂防えん堤の映像(左)、崩壊地を撮影したライブストリーミング画面(右)
撮影した画像より作成した砂防えん堤の3Dモデル(左)、事務所から現場の映像を確認する様子(右)
砂防えん堤などの状況確認を想定した実証実験<市之倉おりべ砂防ダム>

 また、2022年6月には神奈川県箱根町にて箱根町消防署と芦ノ湖周辺での遭難者救助を想定した実証実験を実施。ドローンで撮影した映像を遠隔地にある消防署内より見ることで、危険な場所での捜索活動においても有用性があることを確認した。

芦ノ湖にて実証を実施する様子(左)、森林内を撮影したライブストリーミング画面(右)
消防署内にて映像を確認する様子(左)、撮影した写真より作成した消防車の3Dモデル(右)
遭難者救助を想定した実証実験<芦ノ湖周辺>