北海道大樹町とSPACE COTANは、2022年3月、商業宇宙港「北海道スペースポート(以下、HOSPO)」のロケット射場「Launch Complex-0(以下、LC-0)」において、ロボットメーカーHakobotが開発する自動配送ロボットの実証実験を行ったことを、2022年3月28日に発表した。

 実証実験では、自動配送ロボットの走行ユニット部分「Hakobase(ハコベース)」の試作機を用いて、①悪路(雪道や凍結した地面等)での走行性能テスト、②ものづくり現場等の実際の作業環境での走行テストを実施した。
 試作機のスペックは、重量60kg、幅660mm、長さ916mm、高さ760mm。自動走行を実装しているが、今回は走破性の実験のためリモコンで操作を行った。

① 悪路(雪道や凍結した地面等)での走行性能テスト
 ノーマルタイヤで実証実験を行い、積雪量約3cm程度であれば十分走行可能であることや、4輪駆動の走行性能を確認した。それ以上の積雪量における走行を見据えて、車高を上げること、オフロード仕様のタイヤやチェーンの装着、後付けできるクローラーの装着等を検討し、来年度の冬期に改めて実証実験を実施する。今後、荷室部の振動などのテストも進めていく。

② ものづくり現場等の実際の作業環境での走行テスト
 実証実験では、LC-0を使用するロケット開発企業インターステラテクノロジズの協力を得ながら、実際のロケット打ち上げ時のオペレーションを想定した工具等の配送テストを行った。
 ロケット打ち上げ時には重い工具や重機等を運ぶ作業があり、フォークリフトを使用するには資格や作業練度が求められる。こうした作業を自動化することで、標準化や作業効率の向上、労働災害のリスク減少が見込まれる。また打ち上げ時以外にも、HOSPOでの航空宇宙実験等の作業時の使用が期待できる。

 同実証により、積雪3cm程度であれば十分走行可能であることが確認できたほか、今後の商品改善のためのデータや知見、ロケット打ち上げ時におけるロボットの使用ニーズ、悪路での走行性能を生かした除雪ニーズ等の調査としても良い結果を得たという。
 HOSPOでは今後、Hakobotが2022年夏頃に実証実験を計画しており、さらに1社(航空宇宙分野以外)の実証実験が予定されている。