三菱電機は、三重県多気町の大型商業リゾート施設「VISON」において、観光客の購入品を無人搬送ロボットが各店舗から収集し、観光客が指定した時刻・場所へ自動で届ける「手ぶら観光ソリューション」の実証実験を、2022年4月19日から4月22日まで実施する。

実証実験で使用する無人搬送ロボット

 観光地では買い物により手荷物が増えると持ち歩きが大変になり、順序を考えながら購入しなければならないといった課題があった。また、瓶など重量物の買い控えで店舗が販売機会を逸したり、観光客が店舗に預けた購入品の受け取り忘れも発生していた。

 同ソリューションでは、観光客の購入品を無人搬送ロボットが各店舗から収集、指定された時刻・場所に届けることで、手ぶらでの観光を実現する。さらに、店舗での重量物の販売促進や観光客の購入品受け取り忘れ防止などで店舗運営を支援する。

 なお実証実験では、専用アプリを搭載した実証実験用のスマートフォンを観光客に貸与する。店舗のタブレットで指定した受け取り時刻・場所はスマートフォンからも確認・変更が可能。

 また、AIを用いて予測した混雑度をもとに、各店舗間や指定された場所への移動所要時間を決定するとともに、無人搬送ロボットに搭載された複数ロッカーへの商品割り当てを最適化することで、店員による商品格納時や観光客の受け取り時の手間を削減する。

 同実証実験によりユーザーの利便性を検証し、2~5年を目途に事業化を進めるとしている。

「手ぶら観光ソリューション」のイメージ

 同ソリューションでは、AIで歩道の混雑度を予測し、指定時刻での自動搬送を実現する。同社のAI技術「Maisart」が曜日や時間帯などによって変化する、ロボットの走行エリアである歩道の混雑度を93.3%の予測精度で予測し、無人搬送ロボットの移動所要時間を統計的に決定。その移動所要時間をもとに各店舗を経由して、指定された時刻から前後5分以内に観光客の受け取り地点に到着する搬送スケジュールを自動で作成する。

移動所要時間決定のイメージ

 無人搬送ロボットに複数のロッカーを搭載することで1回の搬送で複数客に対応する。商品サイズとロッカー容量に応じて、同じ観光客の複数店舗での購入品を同じロッカーに格納するなど、数学的に最適な組み合わせを求める方法により、ロッカーの割り当てを最適化。店員の購入品格納時や、観光客の購入品受け取り時に最低限のロッカー開閉で済むなど利便性が向上する。ロッカーの鍵の解除コードは、そのロッカーを開閉する店員と観光客のみに通知され、格納ミス、受け取りミスを防止する。

ロッカーの割り当てを最適化したイメージ