2022年3月31日、SORA Technologyとシエラレオネ共和国 科学技術イノベーション局(以下、DSTI)、ンジャラ大学は、シエラレオネにおける医療物資配送を主目的としたドローンインフラ構築にかかるMOU「ESTABLISHMENT OF MEDICAL DRONE INFRASTRUCTURE IN SIERRA LEONE」を、2021年12月24日に締結したことを発表した。
 ユニセフ等も支援する国家プロジェクトに参画し、農村部の医療物資アクセス改善に加え、ドローンを軸としたシエラレオネのDX化・人材育成にも貢献するとしている。

 シエラレオネを始め多くのアフリカ諸国では、陸上輸送インフラの未発達により、農村部において医薬品・ワクチン等、必要な物資が適切なタイミングで供給されないという課題が大きな社会問題となっている。

 このMOUは、ドローンによる配送事業が不完全な医療物資サプライチェーンを補うだけでなく、国のDXや人材育成にも貢献し得る重要なソリューションであるという共通見解に基づいており、DSTI並びにユニセフが主導する「医療ドローン配送プロジェクト(Medical Drone Delivery Project、以下MDDP)」に、SORA Technologyが参画する旨が明記されている。

 同社が自社開発する固定翼ドローンは、長距離配送のほか、空からのモニタリングやデータ収集にも対応できるよう設計されており、管制システム等の環境整備に関しても豊富な知見や技術、ネットワークを有している。
 MDDPへの貢献とともに、シエラレオネの若者がドローンやデジタル技術の能力を向上させる機会をもたらし、同社の今後の事業展開において欠かせない現地人材育成にもつながることが期待される。

 さらに、シエラレオネの未電化医療施設に電気やインターネット接続などの必須サービスを提供するイニシアチブ HealthGrid Sierra Leoneとも連携。このイニシアチブは、USAID Global Development Alliance(GDA)として組織され、RESOLVE、Orange Sierra Leone、bechtel.org、World Vision、Gavi、Vaccine Alliance、シエラレオネ保健衛生省を含むマルチセクターコンソーシアムによって運営されている。将来的にはアフリカ数十カ国への多国展開を行い、10万以上あるとされる未電化医療施設に貢献していくビジョンを有している。
 これらのパートナーとシエラレオネの地方農村部において持続可能なドローン運用を実現し、シエラレオネの「Digitization for All」とUniversal Health Coverage(UHC)に貢献していくとしている。

 SORA Technologyは、ドローンとエアモビリティを活用し、COVID-19のパンデミック後の社会変革を推進している。アフリカとアジアの途上国を中心としたユニバーサル・ヘルス・カバレッジとデジタル・トランスフォーメーションの実現を目的に、飛行管理システムを含む包括的なドローンインフラの構築と運用を行っている。安全・確実・タイムリーな物資輸送だけでなくデジタル情報の効率的な管理など、ドローンを中心とした新しい社会インフラを開発し、アクセスの悪さや非効率性の問題解決を目指している。

各者コメント

SORA Technology アフリカビジネスリード 梅田昌季氏

 DSTIおよびンジャラ大学と協力し、医療用ドローンの配送だけでなく、国のデジタル開発支援全体にコミットできることを嬉しく思います。本パートナーシップは、弊社がアフリカにおいてミッションを実現していく上で重要な第一歩です。弊社は、医療品へのアクセスを改善するための持続的なサポートに加えて、シエラレオネの様々な分野におけるデジタル・トランスフォーメーションも促進していけるような包括的な事業支援を行なっていきます。

DSTI プロジェクトコーディネーター デイビッド・マンレー氏

 DSTIは、新たなテクノロジーを活用しながらヘルスケアを改善すべく、複数のパートナーと協力しながらイノベーションを促すための種まきを行える環境を整え、新たなテクノロジーを効果的に取り扱うことができる技術人材を育成しています。本パートナーシップは、シエラレオネのドローンパイロットとデータサイエンティストを訓練しながら、既存の医療サプライチェーンにドローンを統合する上での重要な一歩となるでしょう。

ンジャラ大学 情報通信技術部長 トーマス・ソング氏

 ンジャラ大学は、ドローンやデータ技術の分野でSORA TechnologyとDSTIと提携し、シエラレオネの医療制度と人材育成に貢献できることを嬉しく思っています。本パートナーシップは、保健衛生省が遠隔地や到達困難な地域に住む市民の医療物資のアクセス向上につながるものです。ドローン技術により、数時間かかっていた医薬品を数分に短縮し、配給センターから地方の保健所まで安全に輸送することができます。これにより、緊急時の人命救助とコミュニティの回復力強化が期待できます。私たちは、ドローンを安全かつ大規模に配備するという重大な課題を克服する上で素晴らしい協力的な精神に刺激を受けています。ドローンの配備をサポートできる専門家の自立したエコシステムを構築することは、非常に重要であり、そのためにはトレーニング、規制、認証を確実に実施することが求められます。このパートナーシップにより、国立のドローン&データアカデミーが創設され、地域の能力を高めるとともに、空撮画像の分析、ドローンの組み立て、操作のスキルを若者に提供することが期待されています。