2021年12月10日、DRONE FUNDは、米カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置くMatternetへ、3号ファンド(正式名称:DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合)からの出資を実行したことを発表した。

 2011年に設立されたMatternetは、ドローンを用いた医療品配送サービスを提供するアメリカ発スタートアップである。同社は都市環境でのオンデマンド空中配送のためのクラス最高技術を開発。エンド・ツー・エンドのソリューションにより、世界中の医療機関は現在利用可能な他の配送ソリューションよりも短時間で、高い予測性を持ってオンデマンド配送を受けることが可能になるという。現在までに同社の技術は、1万5,000回以上の商用ドローンの飛行を実現している。

 日本の医療物流業界は慢性的な都市交通渋滞、労働力不足、COVID-19感染症対策などの課題に直面している。Matternetは特に都市部の混雑における地上配送の課題点に着目し、同社のM2ドローンが時速70km以上でポイント・ツー・ポイントによって飛行することで、配送時間を最大70%短縮する。これにより、患者ケアの向上、分散した医療インフラの統合、医療サプライチェーンの合理化などの大きな効果が見込まれる。

 また、2021年9月にスイスで商業的に展開されたMatternet Stationは、ペイロードの積み込みと保管に加えて、精密な離着陸を自律的に行うドローンポートとして設計されている。労働力の減少が課題となる日本において、より少ない人数でより多くの配送を可能にする強力なツールとなることが期待される。

 同社は現在、スイスポスト社やUPS社等の大手物流パートナーと共同で、スイスと米国で事業を展開しており、2022年にはドイツとアラブ首長国連邦で常設事業を開始する予定だ。

Matternet Station
M2ドローン