2021年3月30日、豊田通商は、米Zipline International Inc.(以下ジップライン社)と、日本市場でのドローン物流サービスの社会実装を目的とした戦略的業務提携契約を締結したことを発表した。同社は2018年6月にジップライン社に出資して以降、ガーナでの協業などを推進してきた。豊田通商によると、ジップライン社が他社に技術提供する初めてのケースである。

 この提携により豊田通商はジップライン社から技術提携を受け、日本でのドローン物流サービス事業構築を進める。過疎地・離島における医薬品などのドローン物流を通じて、人手不足や物流課題、医療アクセスの格差といった社会課題の解決を目指す。

ジップライン社のドローン

 ジップライン社は現在、ルワンダとガーナにおいて、それぞれの国をカバーする規模の広域医療品配送事業を展開、米国でも事業を開始している。これまでに500万マイル(約800万km)以上の自動飛行を通じて、150万回分以上のワクチン・血液製剤・重要医薬品などを2500以上の医療施設、2500万人以上の人々に届けている。

 豊田通商は、2018年6月にシリーズC資金調達ラウンドにおいてジップライン社に出資、業務提携を締結。ガーナでの協業では、豊田通商グループの医薬品輸入卸販売事業会社が取り扱う医薬品を、ジップライン社が同国内の医療機関に届けている。

 この提携は豊田通商のネクストモビリティ戦略の一環であり、トヨタグループの商社としてグローバルな自動車事業で培った知見とジップライン社の技術を生かし、新たな空のモビリティとして期待されるドローン物流事業を推進するとしている。

関係者コメント

ジップライン社CEO ケラー・リナウド氏
「我々のミッションは、地球上の全ての人に必要な医薬品をすぐに入手できるようにすることです。豊田通商とのパートナーシップは、1億2000万人以上の日本の人々に、この約束を届けるための第一歩です。我々は今、医療アクセスがかつてないほど緊急かつ不可欠な時代に生きており、我々2社のチームは医療アクセス向上に貢献するための新しいソリューションを見つけるというコミットメントを共有しています」。

豊田通商の自動車本部CEO 山波正人氏
「当社は、ジップライン社の物流課題解決につながる革新的な技術に注目し、3年前に出資しました。同社はすでにアフリカや米国において人々の医療アクセス向上に寄与しており、日本でも社会変革の実現に貢献できればと考えています」。