2022年3月22日、ウェザーニューズは、航空気象サービス「FOSTER-GO」をバージョンアップし、250mメッシュの高解像度の「強風リスク」と約1,000地点の「瞬間風速」、2種類の風予測を追加した。また、この風予測はヘリコプターと同じ低高度を飛行するドローンにも有効なことから、ドローン向け運航管理支援サービスを開始した。

 FOSTER-GOはヘリコプターに特化した気象情報を提供するサービスで、2021年4月に運用を開始。運航管理者やパイロットがフライトプランを作成・承認する際に活用されており、全国のドクターヘリや消防、警察や自衛隊のヘリコプターで導入が進んでいる。同サービスの専用ウェブサイトでは、風向・風速・天気・視程・雲低高度の予測や、観測データ、ライブカメラなどの気象情報を閲覧することができる。

風の予測を確認する様子

 新たに追加された「強風リスク」では、上空150mまでの風向・風速を高度10m単位、250mメッシュで8時間先まで予測し、専用ウェブサイトのマップ上に、安全・注意・危険の3段階で表示。風に流されるリスクがあるエリアを確認することができる。

250mメッシュの風向風速の予測

 「瞬間風速」では、全国約1,000地点の瞬間風速を1時間ごと48時間先までグラフで確認が可能。これにより運航に影響があるエリアや突風の可能性を一目で把握することができる。
 一般的に風速は10分間の平均値で表現される。平均風速と瞬間風速は1.5~2倍ほどの差があり、また平均風速と瞬間風速には一定の関係性がないため予測が難しいという。同社では、AIを用いて独自開発した瞬間風速の予測モデルを活用し、突風のリスクをより正確に把握する。

48時間先までの瞬間風速の予測(左)、約1,000地点の瞬間風速予測を閲覧可能(右)

 2022年12月頃には有人エリアにおけるドローンの目視外飛行(レベル4)の解禁が予定されており、ドローン宅配の実証実験が数多く実施されている。一方、ドローンが強風に煽られて墜落するなどの事故も報告されており、気象リスクへの対策が求められている。
 今回提供を開始する2種類の風予測は、ヘリコプターと同じ低高度を飛行するドローンにも有効な情報であることから、同社はサービスをドローン市場向けに拡張し、ドローン向け運航管理支援サービスを開始した。ドローンの最適なルート選定への活用や、安全運航の実現を支援する。
 FOSTER-GO専用ウェブサイトは、パソコンやスマートフォン、タブレット端末といったマルチデバイスに対応しており、場所を問わず閲覧が可能だ。

 今後はライブカメラや独自観測機などの観測網を充実させるとともに、ドクターヘリの運航可否判断を支援しているノウハウを活かしてナビゲーション機能の開発も進めるとしている。

竹芝での実証実験において、気象IoTセンサー「ソラテナ」で風を観測する様子