2022年1月6日、ウェザーニューズは、雨・雪・雲(霧)を自動判別する多周波気象レーダーシステムの開発を開始することを発表した。同社によると、1つのレーダ―システムに複数の周波数帯を利用するのは世界初だという。

 近年注目されている空飛ぶクルマやドローンなど次世代空モビリティの実用化には、ルートに特化した気象情報が必要となる。しかし、既存の気象レーダーやライブカメラ、衛星画像など従来の技術では、雲の内部を高解像度に観測することは難しい。そこで同社は安全運航や最適なルート選定を支援するため、ドローンなどが飛行する低高度の気象現象をより細かく観測する新たな多周波気象レーダーの開発を開始した。

ドローンの運航に伴う気象リスク

 従来の気象レーダーは1つのレーダーシステムに単一の周波数帯を利用しているが、同研究では1つのレーダ―システムに複数の周波数帯を利用する。周波数帯は、種類によって捉えやすい気象現象が異なるという特性があるため、雲内部の高解像度な観測が可能になり、雨・雪・雲(霧)の違いも判別できるようになる。

 この多周波気象レーダーは、2024年末までにプロトタイプの完成を予定しており、ドローンの運航を支援する実証実験も行うとしている。その後、量産試作などを経て2030年ごろの運用開始を目指す。

 同研究には大阪大学大学院工学研究科 牛尾知雄教授が参画する。また同社は、科学技術振興機構(JST)の「未来社会創造事業(大規模プロジェクト型)」2021年度の技術テーマにおいて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提案し採択された研究開発課題の共同研究グループとして参加し、その一環として同研究開発を進める。