2021年11月24日、国際航業は、KDDI、ウェザーニューズ、宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)と、複数のドローンやヘリコプターの飛行情報を運航管理システムに接続・統合する実証実験を実施し、データ収集や調査用ドローンの安全運航の検証に成功したことを発表した。

 同実証実験は、日本全国13地域で同時飛行する複数のドローンを運航管理システムと接続し、一つの画面で制御して安全に飛行させるという試みの一環。三重県志摩市において、南海トラフ地震によって誘発が予想される津波による災害後の状況把握や調査活動を想定した実証実験を、2021年10月26日、27日に行った。国際航業は前回の実証実験(2021年3月)に続き、ドローンの空撮飛行およびデータ取得・解析を行った。

 この実験は、KDDIが新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)から受託した事業「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」(以下、DRESSプロジェクト)/地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業」のもとで実施された。DRESSプロジェクトの最終年度にあたる今回は、2022年度に制度整備が予定されている「有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4)」を見据えた運航管理システムの有効性について検証を行っている。

志摩総合スポーツ公園で実証実験を行う様子

 救助機関のヘリコプターなども同一空域に飛来することを想定し、ウェザーニューズの小型動態監視システム「FOSTER-CoPilot」と、JAXAの無人航空機運航管理シミュレータから、仮想ドローンおよび仮想ヘリの飛行シミュレーション情報をKDDIの運航管理システムに共有することで現場上空に複雑な空域状況を再現し、運航管理システムの技術と運用の2つの面で検証を行った。

運航管理システムの画面

 運航管理システムの社会実装と災害対応のデジタル化推進には、国や地方自治体、関係機関、民間企業が災害時にドローン等で取得した情報を、効率的・効果的に活用するための仕組みづくりも並行して進める必要がある。今回は行政機関も交えたシナリオの策定を重視し、ドローンの災害時利活用に向けた課題と解決策について幅広く検討し整理を行った。

 また前回と同様、飛行後の計測データ処理では撮影データの簡易オルソ画像の迅速な提供、国際航業の3次元空間解析クラウドサービス「KKC-3D」等を活用した3次元点群データを構築。災害対応に必要となるデータの有効性を確認した。

 ドローンの運航管理システムが機能することで、有人機とドローン、ドローンとドローンの衝突が回避されるため、より効率的・効果的な災害対応が可能になると期待される。国際航業は今後もドローンによる取得データの活用に向けて環境整備を進めるとしている。


ドローンで撮影した連続写真を合成(簡易オルソ化:ゆがみを補正)した画像。片道約2kmの海岸構造物の様子(志摩総合スポーツ公園から和具漁港)。
連続写真をもとに3次元点群データ化した和具漁港。ソフトウェア上では、港湾施設等の立体的な様子が確認できる。