2021年10月21日、FLIGHTSは、太陽光パネルのドローン点検大手であるインドのAirProbe社と国内独占アライアンスを締結したことを発表した。

 2017年創業のAirProbe社は、太陽光発電施設の施工やメンテナンスに関するシステムを提供しており、世界各国で合計20GW、約40万施設以上の太陽光パネル点検の実績を持つ。同社の開発するソフトウェア「AirProbe」は、こうした実績と世界展開のスケールメリットにより低価格を実現。従来の方法では1ヶ月強を要する点検作業を約1日で完了する。

 同ソフトは、AIによる画像解析とデータ管理の機能を持ち、ホットスポットなどの異常箇所を自動で検出。異常原因、深刻度、想定される売電損失額の判定を短時間で実施する。解析結果を含むデータはクラウド上で管理でき、時系列での比較や情報共有も可能だ。

 昨今の電気保安をとりまく課題として、再生可能エネルギー発電設備と事故の増加、設備の高経年化、保安人材の不足、自然災害の激甚化が挙げられる。こうした環境下でも、電力の安定した供給には保安業務の継続が不可欠である。

 2021年4月、経済産業省は、IoTやAI、ドローンなどの新技術を導入することで保安力の維持向上と生産性向上を両立し、電気保安のスマート化を目指す「電気保安分野 スマート保安アクションプラン」を発表。2025年頃の実現を目指し、法規制の見直しやガイドラインの策定のほか、技術開発の支援などを進めている。

 このほか、2017年改正のFIT法により、太陽光発電事業者には事業計画の提出と保守点検の義務が課せられ、定期点検の重要性は増している。

 FLIGHTSとAirProbe社は、PoC(概念実証)にて従来方法の90%以上の工数削減、類似サービスと比較して最大1/3のコスト削減効果を確認している。半年間のPoC期間中に国内O&M企業を対象に10社300MWの点検を実施し、コスト削減とそれによる1.5~5%の収益改善が確認できたという。

 今後FLIGHTSは、今年度末までに2,000MW、来年度末までに5,000MW分のパネル点検を実施するとしている。AirProbe社は、点検後の運営保守の一連業務にも利用できるようソフトウェアのさらなる機能開発、日本市場へのローカライズを進める方針だ。

各者コメント

FLIGHTS代表取締役 峠下周平氏

 日本は海外と比較し、ドローンによる太陽光パネル点検の普及が遅れています。発電所も小規模な傾向があるため、システム開発にスケールメリットが働きづらい環境です。その結果として点検コストが割高になり、普及が遅れるという悪循環が発生していると考えられます。

 AirProbe社は創業4年ながら、世界で20GW以上もの日本国内では到底実現できない豊富な点検実績を積み上げ、その実績を活かした高性能ながら低価格なソフトウェアの開発を実現しています。これを国内に展開することで、「圧倒的な低コスト」かつ「信頼できるドローンサービス」を提供し、O&M業界におけるスマート保安の普及に貢献してまいります。

AirProbe CEO Aditya Bhat氏

 ドローンによる大規模な太陽光発電所の点検では、赤外線カメラとRGBカメラの両方から一貫した高品質なデータの取得が必要です。これによりクライアントに最高品質のデータを提供できます。

 FLIGHTSは、日本全国で土木・インフラ点検の分野でドローンの運用・訓練を行い、日本全国で安全かつ低コストなドローン運用を行うことができる豊富な経験と高度なドローン運用ノウハウを蓄積してきました。これに加え、AirProbeがもつ数多くの海外企業との成功した提携実績により、日本にローカライズされた「ソーラー業界に真に貢献できるサービス」を、共に提供していきたいと考えています。