2022年2月10日、FaroStarは、ACSLの協力のもと、2月2日に大阪府大阪市、2月3日に広島県福山市において「非管制区域を飛行する無人航空機と回転翼航空機の安全性を高める衝突防止自動管制技術の実証試験」を実施し、成功したことを発表した。

出発地点からドローンが離陸する様子

 2025年の大阪・関西万博の会場である夢洲において、空飛ぶクルマ輸送サービスの社会実装を実現するに当たり、万博会場上空や万博会場周辺空域の安全確保(衝突回避)が課題となっている。
 同実証試験では、安全確保にかかる課題解決に向けた自動管制の実効性を検証するため、FaroStarが開発した衝突防止自動管制技術を使用。離島地域における空飛ぶクルマの活用をイメージし、新たな交通手段としての具体的な利用方法を住民が体験することで、社会的受容性の醸成を図ることを目的としている。

 衝突防止自動管制技術は、航空機やドローンの飛行情報を取得し、そのデータを基に飛行体同士が衝突する可能性を検知すると、空飛ぶクルマを模擬したドローンに回避可能なWP(ウェイポイント)を指定して自動回避させ、衝突を回避できたと判定すると次のWPに誘導するアルゴリズムである。

 実証試験に使用したACSL製の産業用ドローン「ACSL-PF2」は、物流、インフラ点検、災害等、さまざまな分野で採用されており、補助者無し目視外飛行(レベル3)について多くの実績を積んでいる。同機体に衝突防止自動管制技術を搭載することで、ドローン飛行の安全性を高めることができる。

実証実験に用いたドローン「ACSL-PF2」

 実証実験では、仮想ドローンとACSL-PF2実機での回避試験を実施した。その内容は、空飛ぶクルマを模擬したドローンが出発地を離陸し、計画飛行により指定の場所へ飛行。計画飛行中に衝突防止自動管制システムからの指示により仮想ドローンの回避行動を行う。回避後は元のルートに戻り、指定の場所に着陸するというものだ。

 実証の結果、大阪市、福山市における2カ所の実証試験において、計画飛行中のドローンが衝突防止自動管制システムからの指示により仮想ドローンを回避。その後、元の計画飛行に戻り、指定の場所に着陸することができた。

仮想空間にある障害物をドローンが避けていることを確認
FaroStarVisionアプリで試験状況をリアルタイム配信
回避後、元のルートに戻り着陸する様子