2022年1月28日、ACSLは、2025年に売上高100億円、純利益10億円と目標を定めた中期経営方針「ACSL Accelerate FY22」を公表した。

 近年、ドローン市場を取り巻く環境は急速に変化している。これは、ドローン市場においてどれも追い風であるといえ、その潜在的なドローン機体市場は2030年において、ACSLが注力する空撮、物流、閉鎖環境点検、煙突点検の4用途だけみても3,000億円規模、他の用途も含めると10兆円規模になると同社は推計している。

ドローン市場を取り巻く環境の変化

経済安全保障の観点から、データセキュリティや技術漏洩に対する意識が高まり、国産回帰の需要が台頭し、セキュアに対するニーズが顕在化していること。

クリーンエネルギー設備投資増加に伴うO&M(オペレーション&メンテナンス)ニーズの台頭や、ドローン物流による脱炭素化の流れがあること。

地方創生や持続可能な社会インフラ構築に向け、ドローンによる物流やインフラ点検等の需要が増加していること。

航空法改正に伴い、有人地帯上空における目視外飛行(レベル4)の緩和や免許制度などが整備されること。

 同社は、黎明期に求められるアジャイル型開発と、成熟期に求められる量産を同時に提供可能な国産メーカーとして、人々の苦役をなくし自由で開放された持続可能な世界をつくることを目指して、2020年8月に、10年後に目指すべき姿「マスタープラン」を掲げている。

ACSLが掲げるマスタープラン

 これを実現するため、変化する事業環境に適応するローリング方式の中期経営方針「ACSL Accelerate」を定めている。

 「ACSL Accelerate FY22」では、従来の中期経営方針の取り組みを継続しつつ、持続可能なグローバル・メーカーへ変遷するために、5つの事業戦略を策定した。

ACSL Accelerate FY22の事業戦略

1. 4つの用途特化型機体の量産化と社会実装
 上市済みの小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」と閉鎖環境点検ドローン「Fi4」については、全国デモンストレーションや公共入札などの販促強化を実施し、開発中の機体については量産化開発を加速させる。

2. 新用途開発とセキュア対応
 既に実証実験を実施している風力発電、屋内巡視、船舶など各種用途から、次の用途特化型機体の開発に着手するとともに、製品ラインアップすべてをセキュア対応していく。

3. インド市場の本格的立ち上げ
 経済安全保障の意識が高まりつつあるインドにおいて、市場の60%シェアを持つ中国製ドローンの置き換え需要を、現地法人と連携しながら早期に刈り取りに行く。

4. ESG取り組みの強化と発信
 ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みを強化し、顧客企業力と社会の強靭化をはかり、事業を通じた社会課題の解決と持続可能な世界の実現に取り組む。

5. 自律制御システムの他分野展開の検討
 他業務の省人化を推進していくために、産業用ドローン開発を通して成熟させた自律制御システムを他ロボティクスへの適応を図っていく。

 ACSLは、同事業戦略を推進することで、2025年で売上高100億円、純利益10億円を達成し、持続可能な成長が可能な体制を目指すとしている。