2022年1月25日、関西電力と関電プラントは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する「グリーンイノベーション基金事業/洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」に「浮体式風車ブレードの革新的点検技術の開発」が採択されたことを発表した。事業期間は、2022年3月〜2025年2月の3年間となる。

 洋上風力発電は、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札とされている。特に、遠浅の海域が少ない日本では、導入余地の大きい浮体式洋上風力発電の導入拡大が期待されている。

 同取り組みではドローンを用いて浮体式洋上風力発電設備の効率的な点検を実現し、運用・維持管理費用の低減を図る。具体的には、浮体式設備特有の波風による位置変動に対応するために、リアルタイムな位置推定および追従を可能とする制御技術等を開発。これにより、ドローンによる外観点検等の実現を目指す。

「浮体式風車ブレードの革新的点検技術の開発」概要

 迅速かつ効率的な点検を実現し、設備停止期間の短縮ならびに運用・維持管理費用の低減に寄与するため、「浮体式風力発電設備外観点検用ドローン」「ダウンコンダクター導通試験(※1)用ドローン」「ブレード打音検査用ドローン」の開発を行う。

※1 風車のレセプター(ブレード先端および表面に設置される金属製の受雷器具)部ダウンコンダクター(雷電流を安全に大地に放電させるための避雷設備)導通試験では、ダウンコンダクターの健全性を確認する。

1. 浮体式風力発電設備外観点検用ドローンの開発

 浮体式洋上風力発電設備は海底地盤に固定されていないため、波浪や風況により風車全体が変動する。このため、ドローンで点検を行う場合には風車の位置情報等を正確に把握する必要がある。GPS等を活用し、風車のリアルタイムな位置情報等を推定することで、ドローンによる浮体式洋上風力発電設備の外観点検を実現する。

2. ダウンコンダクター導通試験用ドローンの開発

 ダウンコンダクター接点用器具を搭載することで、ドローンによる導通試験を実現させる。これにより、試験のたびに必要となるブレードの回転をなくし、迅速かつ確実な試験を行うことで設備停止期間の短縮を図るとともに、作業の安全性向上につなげる。

3. ブレード打音検査用ドローンの開発

 打音デバイスを搭載することでドローンによる打音検査を実現させる。これにより、検査のたびに必要となるブレードの回転をなくし、迅速かつ確実な検査を行うことで設備停止期間の短縮を図るとともに、作業の安全性向上につなげる。


 今後の取り組みとして、2020年10月に研究を開始した「ドローンとAI画像解析の活用による洋上風力設備の運用・維持管理技術」と組み合わせることで、着床式・浮体式洋上風力、陸上風力を問わず風力発電設備の運用・維持管理の効率化に貢献するとしている。