電源開発(以下、Jパワー)とKDDIは、水力発電設備 約40カ所を皮切りに、全国に点在するJパワー保有設備のドローン点検実証を、2021年11月1日から順次実施している。ダム、配電線、建屋などの電力関連設備をドローンで撮影、三次元モデル化し、設備異常の自動検出や経年劣化状況の解析といった技術を用いて、作業効率化、既存の点検作業との精度の比較や代替可能性などを検証する。

 JパワーはKDDIの協力のもと、2021年8月に設備点検でのドローン活用を推進する総合窓口を社内に設置。今回の点検実証後も、同窓口を通じてJパワーの電力設備点検技術とKDDIのドローン飛行・運用技術を組み合わせ、水力発電、火力発電、風力発電などの電力設備のドローン点検への取り組みを推進するとしている。

ドローンで撮影したデータから三次元モデル化した例(糠平発電所)

<実証内容>

電気設備
開閉所設備外観点検 (鉄構、架線、保安保護柵、碍子など)
配電線点検(架線、送電線劣化、電柱、碍子など)
災害時遠隔地状況確認
冬季入所困難地点点検
放水口内の点検(水中ドローン)

土木設備
洪水吐(コンクリート面クラック(ひび割れ)、ゲート類鋼構造物の発錆など)
ダム堤体(コンクリート面クラック、補修箇所など)
水圧鉄管(管路の変状、発錆など)
取水口、放水口(取水放水状況確認、コンクリート面クラックなど)

建築物
建屋外観(壁面クラック、剥離、雨どい点検など)

ドローンによる水力発電設備点検のイメージ図

 Jパワーは、電力設備点検の安全性向上や作業時間・コストの削減に向け、送電線・架空地線自律撮影技術を使った送電設備点検ドローンの技術開発など、ドローン利活用推進に取り組んできた。その取り組みの中で、2020年9月からKDDIと共同で、風力発電設備においてドローンのオートフライト機能を活用したブレード(風車の翼部分)点検実証を実施し、点検時間を従来の10分の1程度に短縮することに成功。2021年5月からは、67基の風力発電設備を対象にオートフライト機能を活用したドローンによるブレード点検を開始し、すべて完了している。