2021年1月12日、電源開発(以下Jパワー)と岡山理科大学は共同で、ドローンによる送電線・架空地線(※1)自律撮影技術を確立し、特許(特許第6719738号)を取得したことを発表した。

 今回取得した特許は「自律移動制御システムおよび自律移動体」であり、ドローンによる自律撮影技術としては電力業界初(※2)となる。この特許技術を使用することで、最先端のセンサー技術や高速な画像処理技術によるドローンのリアルタイム制御が可能となり、点検業務の安全性向上とともに点検の質向上が見込まれる。また、従来の架空電力線点検の作業時間から50%以上の効率化が期待できるという。

 Jパワーと岡山理科大学は、電源開発送変電ネットワークと共同で自律撮影技術の実用化へ向け検証・評価を行い、2021年度に本格的な導入を目指す、としている。

※1 架空地線:電力線を雷から保護する設備
※2 2020年12月、特許情報検索を用いたJパワー調べ

点検の様子

自律移動撮影制御システムおよび自律移動体とは

 Jパワーと岡山理科大学が共同で発明した「自律移動撮影制御システムおよび自律移動体」とは、送電設備情報・最先端のセンサー技術および制御技術・カメラ技術・画像処理技術を併せ持つドローンが、自動的に飛行ルートを計画し、撮影対象物である送電線・架空地線に接近して一定速度で飛行しながら精細な画像を取得する送電線・架空地線自律撮影技術である。

 今回確立した技術では、予めドローンに入力された送電設備情報により飛行ルートが自動で計画され、撮影飛行中には複数のセンサー情報や画像処理技術を使い、衛星測位(GPS)による自位置情報によらず、ドローンが撮影対象物と一定距離を保持し続ける自律撮影システムを実現した。このシステムは、強風などの飛行環境変化や撮影対象物の状態変化などの想定外の状況に強く、従来の無人航空機自動航行システムによる自動撮影よりも撮影対象物と接近して撮影し、高精細な画像を取得することが可能になる。

 この技術は今後、送電線・架空地線の撮影に限らず、衛星電波の届かない橋梁下やトンネル内の自動撮影など幅広い用途に活用できる可能性があるという。

送電線・架空地線自律撮影技術の概要

 今回確立した送電線・架空地線自律撮影技術は、送電設備情報から自動的に飛行ルートを計画し、撮影対象物である送電線・架空地線に接近して精細な画像を取得する。

設備接近技術の概要
画像取得技術の概要