11月10日、ACSLはエアロダインジャパンと連携し、同社の国産ドローン「ACSL-PF2」の1,000時間におよぶ連続飛行試験を実施し、その試験結果の評価を完了したことを発表した。

マレーシアでの飛行試験の様子(エアロダインジャパン)

 ドローン飛行を有人地帯上空での目視外(レベル4)環境下で実現するには、十分な飛行時間やリスクレベル評価、安全性・信頼性を示すための基礎データが重要となる。しかし、機体は個別に作られた部品を組み合わせて構成されており、システム全体としての性能評価や耐久性評価が十分に実施されていないという課題があった。

 そのため、ACSLはエアロダインジャパンと連携し、実際の飛行環境を確保できるマレーシアで飛行試験を実施。各部品の性能を調査し、ドローンのシステム全体の評価を行った。

 具体的には、モーター、ESC(横滑り防止装置)、プロペラ等の各部品の平均故障間隔(MTBF)の検証と改善点の明確化、各部品の交換やメンテナンスに関わる評価のほか、ホバリング精度、飛行時間、最高速度などの性能指標をさまざまな条件で検証することによる性能範囲の確立、そして、経験豊富なドローンオペレーターからのフィードバックの収集を行った。

ACSL-PF2
マレーシアでの飛行試験の様子(エアロダインジャパン)

 5機のドローンで飛行試験を実施したところ、モーター、ESC、プロペラは交換する必要がないまま試験を完了した一方、集中的に改良すべき点も見つかったという。

 実際にドローンで飛行試験を実施したことで、理論値ではない性能評価を行うことができ、運用コストの低減に繋がるような部品交換等のメンテナンスに関わる重要なデータを得た。

 なお試験期間中はコロナ禍で、教育等で直接海外を往来することが難しい状況だったため、リモートでのトレーニングや運用により飛行試験を進行した。これにより同社の教育・運用システムはリモートでも実施可能で、シミュレータ等によりスキルアップできることがわかった。

リモートでのトレーニングの様子(エアロダインジャパン)
リモートでのトレーニングの様子(エアロダインジャパン)

 ACSLは、今回の飛行試験で得た結果を通していくつかの改良点を確認しており、今後レベル4を見据えた機体の量産化に向けて開発を進めるとしている。これにより産業用ドローンの社会実装に向けて、最適化された部品の交換頻度や運用限界などを定めることができるという。

 同飛行試験をASEAN進出の経験として、同社のドローンを海外で運用する足掛かりとする考えだ。