2021年9月21日、FullDepthは、国土交通省が公募した「海の次世代モビリティ利活用に関する実証事業」において、同社の産業用水中ドローン「DiveUnit 300」が採択され、機器の提供とROVの使用に関する技術的な指導を実施すると発表した。

 日本の沿岸・離島地域では、水産業、海上輸送等が発展し、洋上風力発電、海洋観光等での海域利活用が進展している一方で、高齢化・過疎化による担い手不足、老朽化が進むインフラの管理、海域の自然環境劣化等の課題を抱えている。
 海の次世代モビリティ利活用に関する実証事業では、こうした沿岸・離島地域の課題解決のため、ASV(小型無人ボート)やAUV(自律型無人潜水機)、ROV(遠隔操作型無人潜水機)等、海の次世代モビリティについて、その技術・知見の活用および現地に実装するための必要事項を検証することを目的に実証実験を行う。

FullDepth 産業用水中ドローン「DiveUnit 300」

採択事業「ローカルシェアモデルによるROVを用いた港湾施設点検の実用化実験」

 清水港をはじめ国内の港湾の水中施設の老朽化が進む一方で、点検作業には多額な費用がかかる上、従来の点検業務を担う潜水士の減少と高齢化で人材不足が深刻化しており、点検作業の効率化や作業負荷の軽減が課題となっている。

 この実験では、DiveUnit 300を用いることで潜水士による点検作業の一部である目視検査と写真撮影の業務を代替し、潜水士作業の効率化や負担軽減を図り、標準化された作業として実用化を目指す。

 ローカルシェアモデルとは、水中ドローン利用者の機器導入に係る負担や投資リスクを抑制するため、一定の地域内の企業で機器を共用し、幅広い業務に活用することを目指す仕組みのこと。

採択事業代表者
静岡商工会議所

共同提案者
掘谷、大日工業、柿澤学園、マリンオープンイノベーション機構(MaOI機構)、静岡市海洋産業クラスター協議会(MICCS)、鉄組潜水士工業所

実証実験スケジュール
9月27日:キックオフMTG
9月29日:水中ドローン オペレーショントレーニング
10月上旬~12月上旬:実証実験(場所:清水港)
12月中旬~:評価分析・報告書
3月上旬:成果報告会

産業用水中ドローン「DiveUnit 300」

 DiveUnit 300は、7基の推進器により深海300mまで潜行が可能。本体と船上の通信を行う3.7mmの超極細光ケーブルは、潮流の抵抗を低減し、機動力と安定性を確保。140kgの加重まで耐えることができる。
 遠方の現場には宅配サービスで送付可能。ダム等の車が入れない現場にも手軽に運べ、狭い場所にも対応する。
 濁りや浮遊物で水中の視界が悪い状況でも調査対象を確認できる「マルチナロービームソナー」、水中ドローンの自己位置を把握する「USBL音響測位装置」、強い濁りの映像補正を行う「画像鮮明化装置」等をオプションとして揃えている。
 同機体は国土交通省の新技術情報提供システム(New Technology Information System:NETIS)に登録されている。

産業用水中ドローン「DiveUnit 300」